イタリアジンは洗濯&アイロン好き?

前から言及しようしようと思っていたこと。それが「イタリアジンは洗濯&アイロン好き」である。好きよりマニアに近いだろう。最初はわたくしの周りのイタリアジンだけかと思っていたのだが、やはり違う。統計的に見て、ニッポンジンより断然多いのである、洗濯オタクやアイロンオタクが。

例えばわたくしの最後の同居人ロセッラ(登場人物参照)。彼女は本当に凄い。洗濯は勿論毎日、バスタオルやスポーツタオル等も一日おきに洗う。そして干している時間が異様に長く、曇りや雨で室内干しにしていても、絶対にそれでは終わらない。太陽が出るのを1日でも2日でも待ち、光がさすと同時に洗濯物を全て外に出す。さらにこだわっているのは洗濯洗剤。恐らくニッポンジンに比べて殆どのイタリアジンがそうなのだろうが、彼らは「香り」が大好きである。洗濯物は「IL BUCATO PROFUMATO(イル・ブカート・プロフマート=いい香りの洗濯物)」でなければならない。必然的に、洗濯洗剤の殆どが「バラの香り」「スズランの香り」だったり、特に明記していなくともかなり強い石鹸の香りが付いていたりする。(結構はまってしまう香りだったりする)

ロセッラはこう言う。「わたし、香りマニアなのよ。洗濯物を部屋に干すと、洗剤のいい香りが部屋中に広がるじゃない?それに癒されるのよ。だから一度部屋に干してから、外に出すのが好きなの。」確かにロセッラの部屋に一足踏み入れると、ぷーんといい香りが漂う。

わたくしたちの家には4畳ほどの洗濯部屋が別階にあって、そこには洗濯機と物干し竿と・・・それからロセッラの各種洗剤がずらりと並ぶ。白い洗濯物用、カラー洗濯物用と分けて使うのは当たり前、びっくりするのは柔軟剤の多さである。ロセッラ曰く「柔軟剤はやっぱり香りで選ぶ」のだそうだ。新商品が出たらとにかく試す。

洗濯が終わったらそこがまた始まりである。何のって、アイロン掛けの、である。シャツやズボンにアイロン掛けをするのは勿論分かる。しかし彼女のそれはシーツや枕カバー、Tシャツ、そして何とパンツや靴下にまで及ぶのだ。彼女が珍しいのではない。イタリア全土にその風習は見られるのだ。イタリアジンの彼氏を持つ外国人の女の子たちが口々に言うのはこれ。「信じられない、わたしの彼、パンツにまでアイロンかけるのよ!」

ロセッラは女性であるからまだ分かる。しかし若い男性だって同じ。基本的にマザコンが多い国であるため、①マンマがいつもやってくれていたからといって、自分では何にもできない男性と、②マンマがやっていた通りに洗濯・アイロン掛けを行う男性と極端に分かれるのが面白い。

従ってイタリアは、ニッポンでは考えられない頻度で、洗濯・アイロン掛けの才能がある(というかコダワリがある)男性に出会う国といえる。ペルージャ滞在1年目のルームメイト、ローマ出身のエミリアーノ(当時21歳男性)も然り。洗濯は1日おき。(わたくしは週1回だった)アイロン掛けほどストレスが溜まるものはないとこぼしながらも、シーツにも枕カバーにも、さらには真っ白なブリーフにもアイロンを掛ける。アイロンがピシッとかかったものに囲まれて育っているため、そうじゃないと気持ちが悪いと言っていたのを思い出す。

ベッドに1回ゴロンと横になったら、シーツにはシワができるのに・・・と思ってしまう怠惰なわたくしには到底無理な習性である。パンツのどこにアイロンをかける部分があるのだろうかと真剣に考えてしまう。ちなみにある別のイタリアジン友達は「洗濯物を干すときに洗濯バサミでパチンと止めるだろ?その跡が残っちゃうから、アイロンかけて消すんだよ」と言っていた。

いたいた、もうひとり。親友のアンドレア(登場人物参照)、彼も洗濯・アイロンマニアである。「こんな仕事嫌いだ」と言いながら、マンマがやってくれていたスタイルを、一人暮らしになっても変えることができないという。ロセッラと同じく、一日おきに洗濯は色別に行い、柔軟剤は必ず入れ、全てのものにアイロン掛けをする。そもそも一人暮らしで一日おきの洗濯というのは、むしろ難しい。色別に分けたら1回1着になりそうなものだ。不思議である。