これはお勧め、モーリゼ州のアリアニコ”コンタド”

barmariko2006-02-21

AGLIANICO DEL MOLISE "CONTADO" 2001

文句なしの旨さに出会った幸せな日。わたくしはアンドレア、ジュセッペと3人で、ペルージャのポルタ・ペーサにあるオステリア"LA LUMERA(ラ・ルムエラ)"にいた。ハウスワインをオーダーしようとする彼らを、わたくしは両手で制した。「ちょっと、ボトルにしようよ。ここワイン揃えすごいんだから。わたしおごるから。」突然ニヤニヤする彼ら。「へぇぇ。トーキョーのOLさんはスゴイなぁ!随分豪勢になったもんだなぁ。」う、うるさい。

ただあの貧乏暇なしの日々を思い返せば、ちょっとくらい贅沢したって罰は当たらない、はず、かも。リストランテで、オステリアで、お金を気にせずワインリストから好みのワインをチョイスしてみたい(←でもトーキョーでは無理)、それくらいさせてください。ルムエラのハウスワインが美味しいことくらい、知っている。客の半分はこのハウスワインの赤を頼むほどだ。でも今回は、ボトルで。

今回、幸いなことにわたくしはバッソイオ(お盆)を持って客に飲み物を運ぶ立場ではない。ワインの栓を抜いてもらって、味見をする立場である。美味しくなかったら「ノー」と言って付き返してよいのである。ああ感動。脱・カメリエラ。祝・お客様への道。

ま、そんな感傷はどうでもよい。最終的にわたくしたちは200種類以上あるリストの中から、AGLIANICO DEL MOLISE " CONTADO" 2001(アリアニコ・ディ・モーリゼ”コンタド”)をチョイスした。アリアニコはブドウ品種の名前。モーリセはイタリア南部の州名。つまり、モーリゼ州のアリアニコ種を使った「コンタド」という名の赤ワイン、である。

実はわたくし、このアリアニコ種というブドウに心底惚れている。アリアニコ種の特徴としてごく一般的に言われるのは「重い」「野太い」「どっしり」。ニッポンでも、カンパーニャ州ナポリのあるところ)のタウラージなどが有名だ。しかし、この「重さ」だけが全面に出てしまっているアリアニコはどうも好きになれない。芳香で、余韻があって、適度に甘みもあって、野太いどころかエレガント!?のようなアリアニコがわたくしの理想である。

アリアニコ種の良い点は、北イタリアの重鎮な赤ワインたちに比べて、コストパフォーマンスが高いことでもある。例えばニッポンでも3000円前後から、満足のいくボトルが購入できるはずだ。イタリアのスーパーなら、1000円前後で、素晴らしいものに出会える。

話をルムエラに戻そう。アンドレアはワインリストを見たとき、一瞬戸惑いの表情を見せた。「モーリゼ州?」そう、モーリゼ州とは、イタリア19州の中で最もワイン生産量が低く、ガンベロ・ロッソ(ワインの評定本)に最も遠い、世界に輸出などとんでもない、というイメージが、暗黙のうちに出来上がってしまっている州なのである。

しかし、待っていたのは素晴らしい裏切りであった。予想を遥かに上回る極上の味。香りも、余韻も最高である。重いだけじゃない、華やかなだけじゃない、どことなくスパイシーな香り。どっしりしているのに渋すぎず、むしろ一滴の甘みがじんわり残る。まさにわたくしの理想のアリアニコである。作り手は「マヨ・ノランテ」という名前らしい。うう。ここはマイ・リストに加えなければ。

アンドレアも心底驚いていた。「モーリゼ州のアリアニコ、新発見だよ!まいったな。うまいよ!」後日マヨ・ノランテについて我々は調べてみたのだが、どうやらモーリゼ州きっての作り手らしい。ガンベロ・ロッソでも高く評価されていて(←最近は癒着問題もあって、100%信憑性があるわけではないが)、特に99年度バージョンはトレ・ビッキエーリ(最高評価)を獲得している。しかも、まだまだ知名度は高くないこともあって、良心的な価格設定をしてくれているところも、消費者にとっては超魅力である。そう、今が買い!

みなさま、ご縁がありましたら是非このアリアニコに清き一票を。