日本人フェイスのラテン男!ミスター・アレッハンドロ

barmariko2006-02-20


ご両親がニッポンジンである、ペルー人のアレッハンドロさん(写真:ベットーナの自宅の物置場で、愛する自転車と)の顔は、当たり前だが超ニッポンジンである。肩より長く伸ばした白髪混じりのロングヘアは、いつも後ろで1本に結わえられている。この風貌は、イタリアジンにとってある意味強烈であるらしく、密かに「マエストロ・ミヤギ」というあだ名で彼を呼んでいる人たちもいる。(※イタリアでも一昔前に流行ったTVアニメの空手師範の名前)

アレッハンドロさんは誰とでもすぐ友達になってしまう。大学へ通えば、クラスメイトだけでなく教授陣や大学関係者、大学内にある警察職員と、授業が終わればインターネットポイントの店員や図書館員、バールのバリスタにカメリエラ・・・その交友範囲は広がる一方。大学の行事やコンサートには必ず参加、もともとアマチュア写真家としても活動していたこともあって、いつの間にか大学公認の専属カメラマンになっていた。とはいえ完全なボランティアでの参加にこだわっていて、お金は1銭も受け取らない。「お金が発生した時点で仕事になってしまうからね。僕はもう仕事は一切しないんだ」

アレッハンドロさんがこの社交性を発揮するのは、実は女性に対してである。彼をよく知るひとからの様々な証言がある。「アレッハンドロさんはずるいよ。よく見ればイタリアジンよりもオンナ好きなのに、あの風貌と危険を感じさせないキャラクターでもって、軟派は100%成功するし、大学でも有名な美女とは必ず知り合いになっているからね。」
親友アンドレアも笑いながらこう言っていた。「アレッハンドロさんはさ、超真面目なニッポンジン顔をしながらも、頭はアメリカナイズされている上に、心はペルー、つまりラテンのままなんだよ。街中で彼とすれ違ったことは何度もあるけど、必ず女性が一緒だよね。しかも若い学生。うらやましいよなぁ。僕らが”お茶でもどう?”って声かけたって絶対ついてこないだろうに、相手がアレッハンドロさんだと”まあ付き合ってあげようかな”って気になっちゃうんだろうな。同じ台詞を典型的なイタリアジン男が言ったら、間違いなく怪しまれるのに。全く羨ましい限りだよ。」

物凄く一理ある。お喋りでオンナ好き。それって世に言う典型的なイタリアジンじゃないか。そこにあの白髪ロングヘアと日本人フェイスをプラスするだけで、決して非難されることのない人格者へと変身を遂げるのである。アレッハンドロさんなら、モニカ・ベルリッチとだって友達になれるだろう。軟派という言葉は適切ではない。アレッハンドロさんは何もすごい下心があって女の子に近づくのではないのだ。ただ、可愛い人はほっておけないのだろう。純粋に知り合いになりたいとか、一緒にお話してみたいと思うレヴェルなのである。(だから当然、知り合いにはなれるがその後何か進展があるといったら絶対ない。)

彼がとても社交的な一方で、奥さんのスーザンは180度正反対のキャラクターである。家でこもって勉学に励むのが大好きで内向的。とても人見知りするので、5人以上のディナーには難色を示す。アレッハンドロさんが外で女の子とお茶をしたりピザを食べに行ったりする間、スーザンはさっさと家に帰って書物を読むのだ。

「ねえ、スーザンはやきもちやかないの?」とアレッハンドロさんに聞いてみたことがある。「今更焼かないさ〜。僕たち幾つだと思ってるんだい(笑)。もし僕が女の子と全然話さなくなったら、どこか体の具合でも悪いんじゃないかって心配するって、そう言ってたよ。」

今から1年半以上も前、スーザンが2週間ほどアメリカへ帰国していたことがあった。ご想像通りである。この貴重な2週間をアレッハンドロさんは素晴らしく満喫していた。「1人でご飯作るのはどうもね」と、夕飯は必ずといっていいほど女の子とピッツェリアに行ったり、誰それさん宅に招待されたり。背中には自由という名の羽が生えていた。わたくしたちは「いやぁ・・・アレッハンドロさん毎日楽しそうだねぇ」と笑いあっていたのを思い出す。

これでいいのだ。元気なアレッハンドロさんを見るたびに安心する。オンナ好きというだけで、65歳のアレッハンドロさんがここまで女友達の輪を広げられるものではない。根底にある、万人を引き付ける彼の人間味が、わたくしたちを魅了するのである。

アレッハンドロさん邸に招かれる
アレッハンドロさんの行きつけバール