イタリアの大晦日

barmariko2005-12-31


イタリアでは、クリスマスは家族と、お正月は友達や恋人と、というのが主流である。(恋人と過ごせないクリスマスが悲劇であるかのような風潮は、ニッポン特有だ)12月も半ばになるとクリスマス休暇と称して、イタリア人は家族の元へといそいそと帰省し始めるのだが、年越しを友人と過ごすため大晦日には戻ってきたりする。

晦日の夜には何を食べるのか。ニッポンジンにとっての年越し蕎麦は、何なのか。答えは「レンズ豆とザンポーネ(豚足の皮で包んだソーセージ)の煮込み」何でもレンズ豆というのは、その平たい形がコインに似ているとかで、縁起がよいらしい。まさに、ニッポンの黒豆である。さらにザンポーネの他に(これはもう好みであるが)「コテキーノ」というソーセージも人気で、こちらは豚足の皮ではなく腸で包んでいる。しかし、どちらも超特大サイズだ。

ザンポーネやコテキーノを自宅で最初から作ろうとすると時間がかかるので、最近では調理済みのものが主流だ。12月になると、スーパーではこれらの市販品が山積みされる。レンズ豆入りと、レンズ豆無しがあり、面倒臭がり屋さんはこのレンズ豆入りを買ってしまえば、後は温めるだけでOKなのだから、なんともお手軽である。

しかし。わたくしは声を大にして言いたい。このザンポーネ、確かに美味しい。しかし。市販品によっては相当の油っこさなのだ!健康と食にうるさいエミリアーノくん、君がこんな油っこいものを毎年食べているなんて、わたくし信じられませんわ。もしかしてこのザンポーネのお陰で毎年胃を悪くしてるんじゃありませんか、と言わせて頂きたいくらいである。
さらにこのザンポーネ、豚足の皮で包んでいるだけあって、何とも形がグロテスクである。市販品によっては、あの豚さんの脚指先がくっきりと分かるものもあり、わたくしのお友達は「うっ・・・」とショックを隠しきれないようであった。とはいえ、そのジャンクな味はやはり「一口でいいから食べてみたい」という欲望をそそるものである。うだうだ言っているが、美味しいは美味しいのだ。ただ個人的には一切れでいいかなと。ちなみにアンドレアに聞いてみたら、「重すぎて食べられない」ということだった。ザンポーネが嫌いなイタリア人もいるらしい。

そういえば2年前の大晦日。我が家にはイタリア人3人とニッポンジン3人が集まり、それぞれ何か持ち寄って大晦日ディナーをやることになった。チームイタリアが持ってきたのは、この市販のザンポーネ。チームジャパンが用意したのは、何とポークカレー。さすがにザンポーネとカレーを一緒に食べた日には・・・ワインを飲んだとたんに具合が悪くなりそうだった(涙)

さてディナーの後、イタリア人は老いも若きもチェントロへくりだす。花火や爆竹が轟音を上げ、そこら中の犬が吠え出し、それはそれは物凄い騒ぎになる。チェントロへ辿り着けばそこはもうドラッグの無法地帯。この日ばかりは警察も黙視するのか、マリファナの匂いが充満する。前も後ろも隣もみんな吸っているが、取り締まっている様子はない。ワインのボトルを抱えた若者も多く、ボトル回し飲みで大騒ぎである。飲み終わったボトルは地へガシャーンと叩きつけ、ガラスが飛び散る。ニッポンの年越しのように、どこか厳かな雰囲気は微塵もなく、ひたすらお祭り騒ぎなのだ。