洗濯物がゆらゆら

barmariko2006-06-17


わたくしが持っているイタリアのイメージのひとつに、”窓越しに揺れる洗濯物”がある。ナポリの下町、ローマのトラステヴェレ地区(写真右)、そしてもちろん古の街ペルージャでも、ゆらゆら風になびく洗濯物は圧巻。今でこそすっかり慣れてしまったが、イタリアへ来たばかりの頃は「おお、これぞイタリア!」と感動したものである。

下左の写真は、ペルージャのチェントロ近くの裏通り”ヴィア・デラ・ヴィオラ(すみれ通り)”。美しい名前とは程遠く、お世辞にも治安がよいとは言えない地区だ。道には常識のない飼い主がほったらかしにした犬猫の糞尿が垂れ流しとなり、ボロボロのパラッツォ(建物)の壁は今にも崩れそうである。さて、遠方(正面)には窓から吊るされたジーパンが見える。この辺りの家にはベランダがない。その代わりに大抵の窓枠の外には紐が付いている。住人たちは、下着やシャツやパンツを紐にかけ、パチンパチンと洗濯バサミで抑えて乾かすのである。

一方、下右の写真はちょっと進化した洗濯物スペース。窓枠の下に設置されているのは、紐ではなくアルミ製の物干しラックである。イタリアではこのような簡易物干しラックがよく使われているのだ。ちなみに窓の真下はこのパラッツォの入り口であり、訪れる人は皆ここでチャイムを鳴らす。ふと上を見上げれば洗濯物がそよそよ・・・となるわけだが、そんなことはお構いなし。

イタリアの街を歩いていると、上からポタポタ滴り落ちる水に出くわすことがある。雨ではない。そう、洗濯物の水である。ちなみにイタリアの街角では、うっかり洗濯物が落ちている、なんてことは日常茶飯事である。しかもニッポンのように美しく清掃された道路に落ちるのではない。いつかお話したように、犬の糞で大盛況の恐ろしく汚い道に落ちるのである。わたくしのある不幸な友達は・・・やめておこう。皆様のご想像の通りの結末である。