レンズ豆

barmariko2005-04-07


お昼にレンズ豆を食べた。作ってくれたのはお馴染みアンドレア。当然彼のマンマのレシピである。ニッポンでレンズ豆といってもいまいちピンとこない。流行のデリでレンズ豆を使った外国惣菜を目にすることはあるが、驚くほどの値段である。かといって自分で作ろうと思ってもさっぱり分からない、といったところだろう。

アンドレアのマンマのこの一品は、レンズ豆を水から煮ればよいだけの、忙しいときでも片手間に出来るメニューだ。いや、むしろシンプルさの極意ともいえる。乾燥レンズ豆は勿論一晩水に浸して戻してもよいのだが(煮時間が短縮できる)、硬いままで直接火にかけても出来上がりの美味しさは変わらない。むしろ味を決定付けるのは最後にたらすオリーブオイルであるから、これだけは香りのよいハイクオリティなものを選びたい。ちなみにわたくしは余ったニンジンや玉ねぎを微塵切りにしてレンズ豆と一緒に煮込むことが多い。

  1. 乾燥レンズ豆を鍋に入れ、たっぷりの水と塩少々を加えて中火で煮る。
  2. 途中水が足りなくなってきたら、再度加える。(30〜40分ほどで柔らかくなる)
  3. スライスしたパン(フランスパンなど固めのパン)をカリカリに焼き、ちぎって皿に盛
  4. 3の上からレンズ豆をかける。残り汁も少し加えると、パンが柔らかくなって食べやすい。
  5. オリーブオイルをたらし、黒胡椒をひいて出来上がり。


イタリアでは豆類の消費が非常に多い。特に南部では常備食としてレンズ豆だけでなく、白いんげん豆、赤インゲン豆、ひよこ豆などが家庭の味として頻繁に食卓に登場する。値段も非常に安く、その上栄養満点なのだから、イタリアで豆料理を覚えたらそれはそれは大変便利である。レンズ豆はミネストローネに入れたり、今回紹介したようにシンプルに水から煮てパンを添えて食べたり、さらに肉と一緒に煮ても美味しい。そういえばイタリアでは大晦日にレンズ豆と豚足の煮込みを食べる習慣がある。何でもレンズ豆は金運上昇効果があるのだとか。また味の淡白な白いんげん豆はサラダに入れたり、肉と一緒に煮たり。赤インゲン豆はパスタにも入れるし、当然ミネストローネの具としても大活躍である。

昔ローマのナヴォーナ広場横の小道を入った突き当たりにある「クル・デ・サック」というエノテカへランチをしに行ったとき、レンズ豆のスープを頼むイタリア人が非常に多かったのを覚えている。レンズ豆の料理はとにもかくにも庶民の味なのである。

さてこれらの値段がイタリアでどれほど安いかというと、1キロの乾燥レンズ豆は約200円(これで10人分以上作れる)、白いんげん豆1缶が35円(豆入りのサラダが4人分は作れる)、赤インゲン豆1缶も35円(豆のパスタが3人分作れる)。ニッポンでも乾燥レンズ豆など手に入るが、どうしても値段が高めになってしまう。とはいえ戻して量が膨れるのだから、1袋買えば結構長持ちする。イタリアの家庭の味、誰にでも作れる簡単料理を試してみてはいかが?