レンズ豆のカレー煮込み
LE LENTICCHIE AL CURRY
わたくしは豆料理には目がない。とはいえニッポンにいた頃は、独り暮らしの身で使う豆と言えば大豆の水煮缶くらいのものだった。ヒジキに入れたり、手羽先と生姜で煮込んだり。だからイタリアで、こんなに美味しくて滋養効果の高い、しかも安くて庶民の味方である豆たちと知り合いになれたことが本当に嬉しい。
レンズ豆はイタリアで最もポピュラーな豆である。(レンズ豆についてはこちら→id:barmariko:20050407)今回はこのレンズ豆を使った創作イタリアンをご紹介したい。この大元となった「レンズ豆の赤ワイン煮込み」を教えてくれたのは、ミラノ出身の友達クリスティアンである。2年半前の大晦日、わたくしたちは大勢で山小屋にこもって年越し準備をしていたのだが、クリスティアンは台所にこもり、一人レンズ豆を煮込むのに必死だった。手順は至ってシンプルで、刻んだ野菜(人参、玉ねぎ、セロリなどの香味野菜)とレンズ豆を炒め、そこへ赤ワインをどぼどぼ加え、ひたすら煮込むのである。途中水気がなくなったらまたワインを足す。まるで酔っ払い煮込みである。
この「レンズ豆赤ワイン煮込み」にひとつのヒントをくれたのは、イタリアでコックさん修行をしているニッポンジンのFだった。「肉気をちょっとでも加えるとコクが出るよ。野菜だけだとあっさりしすぎるから。パンチェッタとかね、最高。」すぐさまパンチェッタ(イタリアのベーコン)を加えてみた。確かに美味しい。鶏肉の骨付きブツギリ肉を一緒に煮込んでみた。おお。これならワンプレート料理としても成り立つではないか。冷蔵庫に余っていたひき肉を加えた。いける。ソーセージをほぐして加える。オーケー。つまり、どんな肉を入れても問題なくクリアしたのである。レンズ豆は本当に優秀である。
そして。「何かドライカレーに似てるかも」という直感だけで、お次はいとも自然な流れでカレー味にしてみたのである。アタリ。しかも赤ワインで事前にたっぷり時間をかけて煮込んであるので、カレー味といってもコクがある。カレー味ときたら、やはり白いご飯を添えたくなるのがニッポンジン流である。というわけで、この「レンズ豆カレー煮込みとご飯」は我が家の食卓の定番となった。
材料4人分:ニンニク1かけ、人参1/2本、玉ねぎ大1/2個、赤ピーマン(普通のピーマンでも可)1個、ズッキーニ1/2本、ひき肉100g、レンズ豆カップ1(戻さなくてよい)、赤ワイン2カップ、ローリエ1枚、洋風スープの素1個、カレーパウダー少々、クミン・ターメリック少々(あれば)
緻密な分量というものが実は存在しない。ワインは上記以上加えても全然問題ないし、野菜は冷蔵庫にあるもので十分、その分量は適当である。ワインが煮詰まってきたら、もう少し足してみたらよい。煮込み時間は鍋や量によっても変わるが、大体2時間はかかる。最終的に豆が柔らかくなってればよいので、水気が足りなければ水やワインをちびちび加えていけばいいだけのことだ。
ちなみにこのレンズ豆カレー煮込みは、パンの上にのせて食べてもとても旨い。ブルスケッタの具にして立食パーティなどにも使える。(試し済み)ちょっとした前菜にもなるし、これでなかなか融通の利く便利なヤツなのだ。