ペルージャの寒さ対策

barmariko2006-01-02

CHE COSA E' "KAIRO"?? CHE C'E DENTRO!?
ペルージャは山間都市で丘の上に街が発達したため、冬はとにかく寒い。湿度が低く、そりゃ夏はよいが、冬の身を切るような寒さはたまらない。山風が運んでくる冷気に凍えながら冬を越すのだ。この時期朝晩は零度以下になるというのに、何故か雪はなかなか降らない。いや、降ることは降るのだが東京のそれと同じで、滅多に積もらない。昨年は例年に比べてそれでも頻繁に雪が降ったのだが、何しろすぐに溶けてしまうので、1月・2月は、路という路が雪解け水でグチャグチャだった。

ペルージャの冬を越すのに、わたくしたが重宝したのは意外にも「カイロ」である。あれは本当にニッポンが生んだ逸品だ。「貼るカイロ」を1枚当てておくだけで、体が芯から温まる。背中や腰がヌクヌクして気持ちがいい。小さいサイズなら靴の中もいれられるし。特にペルージャの家は、暖房が効かない、効くけど使用時間が限られているから日中寒い、など問題がテンコモリである。従って咄嗟の「カイロ」は本当にわたくしたちを助けてくれる。そんな「カイロ」に纏わる話がある。

わたくしがペルージャに住んだ2番目の家。ルームメイトはそう、あの健康バカのエミリアーノ、それからもう一人ナポリ出身の曲者「自称映画監督のガブリエレ(当時46歳)」だった。コイツもエミリアーノに負けず劣らず健康バカで、一日中マリファナを吸っているくせに、ありえないコダワリが多くてわたくしは毎日辟易していた。
その冬ガブリエレは自作の映画を撮っていたのだが、外の撮影は寒くて本当に凍えそうだとぼやいていた。腰や背中も痛むらしい。そこで慈悲深いわたくしはついつい、「これ、使ってみる?すぐ温かくなるよ、本当に気持ちがいいから」とカイロを渡した。「何だこれは?何でこれが温かくなるんだ?(既に目が疑心暗鬼である)」「中に鉄が入っててね、摩擦で熱が起こるらしいよ。」「て、鉄!?それが体に害を及ぼさないって、どうして君は断言できるの?」

ガブリエレに大切な「カイロ」を渡したわたくしがバカだった。「ニッポンで、カイロの鉄が体に悪いなんて聞いたことないもん!」「例えば5年後、10年後にこの鉄が内臓や血管に影響を及ぼさないって、どうして分かるんだ!?」「・・・もういいよ。使いたくないなら。返して。」「悪いけど信用できないから、そういうものは。」バカヤロー。ニッポンジンの発明をなめるなよー。と心の中で叫びつつも、「カイロ」の仕組みをイタリア語で(むしろニッポン語でも無理)ガブリエレに説明することなど不可能だったため、わたくしの惨敗であった。

貴重な「カイロ」を、保守的で頭の固いイタリア人にくれてやることもない、とわたくしは心に決めた。そして去年。そんな話を友人のアンドレア&ジュセッペにしていると、彼らは興味津々になった。「今もカイロ持ってる?試していい?」おお。頭の柔らかい新進的イタリア人よ、試したまえ。おもむろに取り出した「カイロ」を見て彼らは大騒ぎ。そしてその効能よりも、袋に描いてあるイラストに釘付けになった。「ナニコレーーー?」

見れば「使用上の注意」の簡易イラストである。「睡眠時には使用しない」「コタツに入りながら使用しない」「肌に直接貼らない」などの注意が、イラストで描かれている。そして彼らが面白がったのは、「コタツ」の絵。「ナニコレー、コタツ?コタツ?」コタツの仕組みは簡単だが、いくら説明しても見たことがなければピンとこない。

ま、いろんな国があっていろんな人種がいて、いろんな視点があるということで。