エディコラ(新聞スタンド)で買う雑誌

イタリアには新聞配達がない。新聞はあくまでも、買いに行くものである。その買いに行く先が街中の「エディコラ(新聞スタンド)」だ。エディコラはよく見るとなかなかどうして、面白い。新聞だけではなく、料理・健康・車・旅行・パソコン・写真・・・あらゆる雑誌やカレンダーが、道路にはみ出てアーティスティックに並ぶ。バスの回数券や、テレフォンカード、携帯電話のプリペイドカードまで置くエディコラもある。

イメージとしては、ニッポンのキオスクからお菓子と飲み物を引いたようなものである。当初驚いたのが、イタリアペルージャでは新聞だけでなく雑誌も、エディコラでしか購入できないということだ。ニッポンのように本屋でゆっくり選ぶとか、コンビニで立ち読みするなんてことは、有り得ないのである。

ちなみにイタリアの雑誌の特徴としては「オマケ付きが多い」「すぐ廃刊になる」の2点が挙げられる。「オマケ付き」これは嬉しい。以前紹介した「ジャッポーネ」というニッポンの文化を紹介した雑誌(id:barmariko:20050419)は毎号、ご丁寧にもニッポンのお椀や箸や、ニッポンには存在しない器などを付けている。そういうわたくしも、お椀欲しさにこの雑誌を2回も購入しているのだから、オマケの威力は侮れない。
料理雑誌もすごい。パスタ用トング(パスタ掴み)やエプロンや大小お玉セット、チーズ用まな板など、毎週変わるオマケが付いて2ユーロ(約270円)など、どこに儲けが生まれるのか分からない値段設定で売られている。実際わたくしはこの料理雑誌には相当心が揺れ、何度買おうと思ってエディコラに立ち寄ったか分からない。(たったの2ユーロなのに、最終的に買わないというのも切ない)

月刊誌「時計」だったら毎月時計が1個付いて、それでも1000円くらいである。この時計はちゃんと動くのか??と心配になるが、見た目は普通の時計である。「バッグ」という雑誌もある。(正式名称は忘れたが、とにかくバッグの専門?誌である)オマケはやっぱりバッグ。毎回なんらかのバッグが1個ついて、やっぱりお値段は1000円もしない。

雑誌「香水」ならお試し香水が付くし、いつだったか何故か「虫眼鏡」付きの雑誌も見かけた。ソムリエナイフ付きのワイン誌は勿論、グラス付きのガラス専門誌もあった。テラコッタの専門誌には、「今日から始めるテラコッタ作りグッズ」が付いていた。当然ながらフィギュア付きのマニア誌もある。とにかく、何でもかんでもオマケで付けてしまうのである。

ニッポンならオマケはレジで会計時に渡されるのが普通である。CD屋で特典のポスターやグッズを貰うときのように。しかし、イタリアがスゴイのは、このオマケをどうにかして雑誌と一緒にして販売していることである。つまり、普通サイズの雑誌に無理矢理プラスチックケースで梱包したオマケを貼り付けているので、非常に歪でやたらとかさ張る雑誌へと変貌を遂げるのだ。エディコラで雑誌一つ買ったつもりが、帰りは洋服か靴でも買ったようなビニール袋を渡されることになる。

廃刊が多いのも事実である。例えば語学雑誌。「今日から始めるABC」といった感じの英語勉強用雑誌はたくさんあるのだが、勢い良く創刊になったかと思えばすぐ消え去る。わたくしの友人が「せっかく付属ROMを集めていたのに、告知もなく突然廃刊になってた」と愚痴っていたのを思い出す。とりあえず試す。発行する。長続きしなくて、やめる。(しかし実際この入れ替えの激しさはニッポンも負けてないんじゃないか?)

ま、わたくし個人としては、たとえその英語雑誌が質のよいものであっても、エディコラで勉強用ツールを買う気にはなかなか、なれない。何となく真剣味に欠けるというか、エディコラのイメージがやっぱりニッポンのキオスクだからなのだろう。最初から雑誌はエディコラで買うものとして31年間生きてきたのなら、「英語の勉強がしたいな。じゃ、エディコラに行くか」という発想も出てくるかもしれないが。

イタリアへ旅行でお越しの方は、どうぞエディコラを覗いてみてください。サッカー好きなら「ACミラン2005年」というメンバーブックや「ユヴェントスの歴史・DVD付き」といったニッポンでは手に入らない雑誌にお目にかかることもある、かもしれない。(廃刊になっているかも、しれない)