え、何おろしてるの?

barmariko2005-05-15

CHE COSA STA GRATTUGIANDO?

イタリアはチーズの国であるから、当然「チーズ用おろし金」はどの家庭にもある調理道具である。例えばイタリアの食器・調理道具ブランド「アレッシ」からもデザイン・質ともに優れたものが生み出されているが、写真のような四角すい形タイプやニッポンの大根用おろし金に似たタイプが最もポピュラーだ。

イタリアでイタリア人と食事を共にするようになり、この「チーズ用おろし金」の目から鱗の使い方を発見した。チーズをおろすのと同じくらいの頻度で、何と彼らは「ニンジン」をおろすのである。

まずニンジンの皮を剥く。そして大根同様ゴリゴリゴリゴリ。このとき使う刃は、一番目の粗い部分である。あまり目が細かくてもそれこそ大根おろしのように水っぽくなってしまい、イタリア料理には何の使い道もない。それが目の粗い部分でゴリゴリやると、微塵切りよりは大きいが普通の削ぎ切りや千切りよりは細かい、微妙なサイズになって出てくるのだ。

この荒くおろしたニンジンを彼らはどう使うのか。まず「サラダ」である。エンダイブルッコラやサニーレタスなどのサラダにこのニンジンやプチトマトを加え、あとはいつものようにひとつまみの塩、オリーブオイルとバルサミコ酢で食べる。またわたくしの友人、アンドレアやジュセッペは忙しい時や食事を軽くしたい時など、まずはおろし金で生のニンジンをたっぷりおろす。そしてツナと和えパンを添えて食べたりするのだ。

そう言えば昔ほんの2ヶ月だけ一緒に生活した、スウェーデン人の女の子も同様にニンジンをおろしていた。時間がないといって、冷凍ハンバーグを温め、その間に生ニンジンをゴリゴリゴリゴリ。出来上がったこの生ニンジンだけのサラダに塩をひとつまみ、そしてバルサミコ酢とオリーブオイルをたらして、ハンバーグの付け合せとして食べていた。そう、スウェーデンも世界的に有名なチーズの国であるから、チーズおろしというのはどの家庭にも必ず取り出しやすいところに置いてある調理道具なのである。

このニンジンおろし、和食にも非常に応用がきく。和食のマエストロからは「何事だ!」とお叱りを受けるかもしれないが、なかなかどうして便利なのである。イタリアで和食を作るとき、例えば「ヒジキ」「野菜入り和風ハンバーグ」など、わたくしは必ずニンジンをこのチーズおろし金でゴリゴリやるのだ。早めに我が家にやってきて「何か手伝うことある?」とおっしゃって下さるイタリア人には「じゃ、これお願い。ニンジンおろして。いつものように。」と手順の中で唯一イタリアンとかぶる部分をお任せする。

チーズおろしって何だか特別な調理道具のような気がしていた方へ、このニンジンさえマスターすれば「あんたなんか、ちょろいもんよ」と余裕の使いこなしをお約束できます。