イタリアで作る和食「和風ハンバーグ」

barmariko2005-07-02

LA PALPETTA GIAPPONESE ALLA WAFU IN ITALIA
今日は、イタリアで作って大、大、大好評だった和食メニューをご紹介しよう。(イタリア料理じゃなくてすみません)以前にもイタリア人が好きな和食について書いたことがあったが(id:barmariko:20050522)、わたくしの観察によると、イタリア人は甘辛系もしくは醤油、味醂、砂糖などのいわゆる和食基本調味料を少し濃い目に味付けたものが、好きである。チキンの照焼きが、どこへ行っても賞賛の的であることはその裏づけである。

肉を使った和食で、イタリア人が好きそうなものはほかに何がある?ある日わたくしは頭を悩ませていた。何故そのとき、いつものイタリア人向け定番照焼きや鮭ちらし寿司以外に、新しいレシピを求めていたのかというと、ペルージャの「ラ・ルムエラ」という地元で人気のあるオステリアから「和食のディナーを企画してくれ」と頼まれていたからである。しかも3週間前に第1回を実施し、そのときに手堅く上記メニューは作ってしまったのである。(その模様はこちらをどうぞ→id:barmariko:20050302)

前回も今回も両日いらっしゃるお客様がいるから、ということでメニューを一部変更しなくてはならず、「うーん、どうしよう。イタリア人が好きなものだよねぇ・・・」と考え込んだ。そんなとき、他の街でコック修行をしている友人から、「ローマやミラノの和食屋行くとさ、普通にハンバーグとかも出てくるんだよ。純和食じゃないけど、まあ懐かしい味だしね、美味しいらしいよ。」そうか、ハンバーグはOKなのか。でもどうせなら、料亭っぽくコダワリのあるハンバーグがいい。

そう思い、出来上がったのが「あんかけ和風ハンバーグ」。生地は合いびき肉、玉ねぎ、人参、ピーマンと野菜たっぷりでふわっとさせ、味噌と醤油を練りこませる。焼いた後に甘いとろっとしたアツアツ和風あんをかける。一抹の不安があると言えば、「あん」というイタリアには存在しない食感のものを、超保守的なイタリア人が受け入れるかどうか、ということである。早速試作を、いつものアンドレアとジュセッペに食べさせてみた。2人は難なくクリア、むしろ「美味しい!こんなハンバーグ初めて!」とバクバク平らげた。しかしここで安心してはならない。彼らは和食に慣れているのだ。少なくともわたくしが作るものに関しては。

和風ハンバーグ(4人分)
合いびき肉300g、玉ねぎ大1個、人参1.5本、ピーマン3個、パン粉20g、味噌20g、醤油少し、牛乳50cc、卵1個、レタス、だし汁200cc、醤油40cc、酒40cc、味醂40cc、砂糖少し

  1. 玉ねぎ、人参、ピーマンを微塵切りにし、フライパンでしんなりするまで炒め、冷ます。
  2. ボールに合いびき肉、パン粉、味噌、醤油、牛乳、卵、塩少々を入れ、粘り気が出るまでこねる。
  3. 冷ました野菜を加えさらにこねる。
  4. 適当な形に整えて両面を焼く。
  5. あんを作る。だし汁、醤油、酒、味醂、砂糖ひとつまみを鍋に入れ、温める。
  6. 沸騰したら、水に溶いた片栗粉を入れてとろみをつける。
  7. お皿にレタスをしき、ハンバーグを並べ、あんをかけてできあがり。

アンドレアとジュセッペをクリアしたら、お次は「ラ・ルムエラ」のコックとオーナーである。早速試作品を持って夜ラスト・オーダーも終わった頃に出向く。結果的に、これはウケた。「あん」は無事受け入れられ、なんと一緒に持っていった唐揚げも「あん」にべっとりつけて食べだした。「こうやって食べても、うまいなぁ!」(何気に新しい食べ方生み出してるじゃないか)

厨房で働く見習いのフランチェスコは「いやぁ〜、旨いよ!いい奥さんになるよ!家に帰ってこんなハンバーグが待ってたら嬉しいよな〜」おい、そこまで言うか?それでダンナがつかまるのなら、幾つでも作りますが。まあそれほどまでに、目から鱗の和風あん、だったらしい。

ということで第2回目の「ラ・ルムエラ和食ディナー」には「あんかけ和風ハンバーグ」が堂々と並ぶことになった。その後、この和風ハンバーグは実に応用がきくことが分かった。大人数のホームパーティや、どこかのバールやパブに「つまみ」として提供するときは、このハンバーグを小さくボール状に丸める。焼く時間も短縮されるが、立食パーティにもぴったりな、あんかけ肉団子(でも和風)になるのである。

更に、肉の割合が非常に少なく、生地の半分は野菜であることからも、「和食はヘルシーなのよ!」をアピールできる優れものである。実はイタリアにも「ハンバーグ」なるものは存在する。日本のものと似ているといえば似ているが、カロリーはどう見ても高めだ。生地は「ひき肉、玉ねぎ、ニンニク、イタリアンパセリパルミジャーノチーズ」で、フライパンで焼くこともあれば、パン粉を付けてオリーブオイルで揚げることもある。(これはイタリア版メンチカツだろう)これはこれで、とても美味しいし、わたくしは大好きである。