イタリアオヤジの靴

barmariko2005-06-01


イタリアと言えば靴。もはや世界的に言われていることだ。特にイタリア男の革靴は、今の日本で言うとあのくだらない雑誌の代表格「LEON」などにも毎日掲載されているのだろう。確かに、イタリア人男性の靴はなかなか格好いい、ことが多い。それは若者の靴で比べるより、実はオヤジ世代で見たほうが顕著である。ニッポンのお父さんたちの通勤ファッションはお世辞にもレヴェルが高いとは言えない。何言ってんだ、ようは中身だ、仕事ができればいいんだ、とおっしゃるかもしれないが、あの黒光りする同じような革靴にストッキング素材の靴下という永遠のオヤジファッションは、見る度に悲しい。

イタリアのビジネスマンの靴は実にセンスがいい。仕事が出来るか出来ないかはこの際置いておくとして「靴」単体を見たら、やはりため息が出る、こともある。勿論靴などに全く興味を示さないイタリア人もいるが、やはり絶対数の問題で、ニッポンのお父さんたちのあの黒い均一化されたモデルの靴に比べたら、その差は歴然である。

イタリアでは50代、60代、もしくはそれ以上のオヤジであっても、なかなかこ洒落た靴を履かれる人が多いのだ。(ちなみにコートやジャケットの襟を石田純一風に立てるオヤジも多い)例えばビジネスマンが履く革靴、ニッポンならまず黒、形は・・・どれも似たり寄ったり。しかしイタリアでは、例えばちょっとカジュアルダウンした(写真のような)革靴を平気でビジネスシーンで履いてしまう。ミラノやローマを旅行された方はお目にかかったことがあるかもしれない。上下ピシっとしたスーツにこの写真のタイプの革靴を合わせてしまうイタリア人。これ、いいじゃないですか。靴底はゴム製、履きやすくて非常に動きやすい上にカジュアルすぎない。秋冬になると、スーツにハイカットブーツなどを合わせるイタリア人も見かける。ちなみにイタリアのビジネス革靴は、圧倒的に茶色が多い。

ビジネスマンだけではない。例えばバール・アルベルトのお向いにある教会で毎日修復工事をしているおじさんたち。彼らは30歳〜50歳である。仕事中は当然動きやすいゴツゴツしたワーキングブーツを履いているのだが、これがまた泣かせるほど格好いい。南イタリアの田舎出身で、毎日修復工事に専念する彼ら、歳も歳だしお洒落にうつつを抜かす暇も興味もない。靴など、動きやすくて丈夫なら何だっていいのだ。しかし。このボロボロのブーツに染み込んだ味が、たまらない風合いをかもしだす。大袈裟に言うのではなく、この50歳の宮大工のおじさんが履くワーキングブーツに心底わたくしは感銘を受けた。

あるわたくしの友達、スペイン人のアイダとカルメンがこんなことを言っていた。「スペイン人もイタリア人も容姿は本当によく似てるから、区別が付かないって言われるでしょ?でもね、靴とシャツをみれば一目瞭然なのよ!スペイン男はまだまだダサイから。イタリア人男性はなんてお洒落なの!」そういって目は道行くイタリア人男性を追い続けたが、アイダはその後すぐ、マルコというローマ出身のこ洒落た男に騙された。恋人がいないと言われて付き合ったのに、他に2人もいたことが発覚したのだった。スペインの実家に連れて帰り親にも紹介したばかりだったのに、マルコとの付き合いはたったの3ヶ月で終了した。「いくら靴やシャツが格好良くても、ね。」そういうことだ。