Tバックは当たり前?

barmariko2005-05-29

LE MUTANDINE

イタリアはTバック王国である。イタリアは、というと語弊があるかもしれない。アジアが控えめなだけで、ヨーロッパや南米では当たり前なのかもしれない。イタリアのどの街にも必ずある下着ブランド「INTIMISSIMI(インティミッスィミ)」の店頭ショーウィンドウに並ぶパンツは殆どがTバックである。春夏秋冬常にTバックである。(季節外れですが、写真は昨年クリスマスシーズンの”インティミッスィミ”のポスター。ちなみにこのパンツも後ろはTバックである)

ペルージャで一番最初の家は、外国人女子5人での共同生活だった。ドイツ人、オランダ人、ロシア人、スペイン人、そしてわたくし。その中でも、ペルージャ大学の科学研究所で働いていたロシア人のジュリアは強烈だった。少々ぽっちゃりしていて髪もボサボサ、度の強い分厚い丸眼鏡をかけ、30年くらい昔の服を着た(ジュリア、本当にごめんなさい。他意はありません)何だか垢抜けない女の子だった。

ある日キッチンに入ってきた彼女は、紅茶のパックを棚から取り出そうと屈んだ。その後姿を何気なく見てわたくしは肝を潰した。彼女のズボンから見えているのは何とTバックパンツの”T”の字の上の部分だったのである。超セクシーダイナマイトな女性からちらっと見えるTバックではなく、それがジュリアのズボンからドーンとお目見えしていた、その驚愕の事実に「目が釘付け」だった。

まもなくそれが、イタリアでは当たり前の風景だということが分かった。イタリアで女の子のパンツといえばTバックである。先ほどのインティミッスィミの例ではないが、下着屋さんに行くと殆どの商品がTバックだ。Tバックというのは面積が少ない分、安定感を補うために紐の部分は割りと腰高に位置する。つまり深めに作られている。しかし今の世の中、若者の間では腰ではくタイプのローウェストなパンツスタイルが主流である為、パンツ(ズボン)からTバックパンツ上部が物理的に見えてしまうことが多い。

ニッポンの場合「パンツが見えている」というのは小学生レヴェルで終了の話であって、いい歳した娘さんがパンツの紐を覗かせながら歩いていたら、人は「なんてはしたない」「あっちの世界のひとなのね」と思うだろう。しかしイタリアは違う。夏ともなれば、Tバックの上の部分がジーパンから見えてしまうのは、当たり前すぎて誰も何も言わない。

その風景にビビるのはアジア圏の男子留学生である。ある時わたくしと同じクラスにいたH君というニッポンジンの男の子がこんなことを言っていた。「イタリアにきたばっかりの頃は”おおおおっ!Tバックが見えている!”って心の中で小躍りしてたけど、今じゃ全然有難みがないよ。そこらじゅうTバックだもんな。もう本当にどうでもいい。」また別の友達は「最初は目のやりどころに困ったけどもういい加減慣れた。」さらにまた別の友達は「むしろ鬱陶しい」

彼らと話してやはり思うのはニッポンの「チラリズム」のほうが断然エロスを感じるということだ。いや、わたくしが感じているのではなく、わたくしのお友達の男の子たちが感じることなのだけれども。