イタリアのおつまみ「ストゥッツィキーニ」

GLI STUZZICHINI
イタリアの食前酒文化に欠かせないものは、なんといっても「つまみ」である。一言でつまみといっても多種多様。生ハム・サラミやチーズにブルスケッタ、オリーブやら何とかの酢漬けやら、何でもこいである。勿論ナッツやポテトチップス類といったスナック系(イタリア語でも「SNACK=スナック」という)も、実に一般的だ。

イタリア語では、おつまみ全般を「STUZZICHINI=ストゥッツィキーニ」というのだが、生ハムやチーズというより、どちらかというと「ポリポリつまむ系」の総称である。グリッシーニやナッツ、ポテチなどがその対象。ちなみにこのSTUZZICHINI、殆どのバールやパブでは無料サービスである。もし注文したグラスワインやビールに、特に何のつまみも付いてこなかったら、一応聞いてみよう。怠惰なバールやパブでは、聞いてきた客にしかSTUZZICINIを出さない、というところもあるのだ。(このへん、本当にいい加減である。もちろん、バール・アルベルトにSTUZZICHINIという文字はない)


今日はわたくしが大好きなSTUZZICHINIをご紹介したい(写真上)。材料はグリッシーニやピザ生地と同じである。粉と水。(粉はセモリナ粉を使ったり、薄力粉だけだったり、強力粉を使うひともいるらしい。)こねて丸めてちぎって、クッキーのようにまとめ、オーブンで焼く。ペペロンチーノ(唐辛子)風味、ローズマリー風味、プレーンタイプなど味もいろいろあり、これが白ワインやスプマンテ、プロセッコなどのお供にぴったりなのである。

ニッポンのスナック菓子のようにパンチが効いているものではなく、非常に素朴な味なのだが、だからであろう、食べだしたら止まらない。カリカリ、ポリポリ。わたくしが特に好きなのはローズマリー風味である。

本日の食前酒。アンドレアがちょっと甘めの白ワインを選んできた。「MULLER THURGAU 2004(ミュラー・トゥルガウ)」ドイツ語であるが、れっきとした北イタリアのワインである。そもそも北イタリアはドイツ・オーストリアと隣接しているから、ブドウ品種も多様化しており、ドイツ語の名前はもはや当たり前なのだ。ちなみにこのミュラー・トゥルガウ種は、リースリングとシルヴァーナを掛け合わせたものである。

これ確か6ユーロ以下(900円)なのに、こんなに美味しいとは衝撃である。決して甘すぎない。マスカットの芳香がぷうんとする、心地よい甘さ。余韻も素晴らしいし、なんともエレガントな食前酒だ。間違いなく、わたくしのお気に入りワインリストに追加。