手紙でも電話でもキッス、キッス!

BACI BACI BACI....AL TELEFONO,SULLA LETTERA,SUL EMAIL!
イタリア人にとって挨拶のバーチョ(キッス)は、それなしでは生活が成り立たない、イタリア人の血そのものである。前回に引き続き、今回もバーチョについてちょっと補足してみる。イタリアにおけるバーチョは手紙や電話でも、コミュニケーションツールとして大切な役割を果たす。つまり、実際相手が目の前にいなくとも、バーチョは必須なのだ。

英語では、親しい人にメールするときや手紙を書くとき、文末を「ハグ&キッス」で締めくくることがよくある。イタリア語も全く同じで、「bacio e abbraccio(キッス&ハグ)」とか「mille baci e abbracci(1000個のキスとハグ)」、もしくは「un bacio grande(大きいキッス)」「un bacio con cuore(心からキッス)」など多様化するが、とにかく締めくくりは「キッス系」である。

電話も凄い。電話を切るときにもご丁寧に「bacio!」と叫んだりする。それも1回ではなく「bacio bacio bacio....」と数回繰り返す。これは声のトーンを徐々に低く小さくしながら、さあ消え入るかというところで受話器を置く、という実はスーパー高度なテクである。少しずつ遠のいていく感じを醸し出すのである。これと同じパターンで、「ciao ciao ciao....」というのもある。つまり「チャオ、チャオ、チャオ・・・」と数回早口に繰り返しながら、段々受話器を口元から離し、遠のき感を出すということである。この場合、チャオは5回〜7回は繰り返されるのだが、これが自然にできるようになれば、あなたももうイタリア人、である。イタリア語はモノにしたと言っても過言ではない。イタリア語というより、イタリア語のリズム、といったほうがいいかもしれないが。

さて、電話で話しているとき、その相手が「〜ちゃんが君によろしくって言ってたよ!」と言うのにも「バーチョ」は使われる。つまり「〜ちゃんが君にバーチョを送ってたよ(直訳)」となるのだ。そう、イタリアにおいて「バーチョ」とは、その行為も言葉も、一日を形成する大事な要素なのである。