イタリアのスーパー

IL SUPERMERCATO IN ITALIA

イタリアの個人商店や市場では、今でも「客は絶対手を触れてはならない」厳格な店がある。客は自分の欲しいものを伝え、いくらそれが目の前にあっても、勝手にとってはならない。店のオーナーのみが、野菜や果物に直接手を触れることを許されているのである。

とはいえイタリアにも近代化された大型スーパーはたくさんあり、例えばペルージャのような小さい街でも駅前にはCOOP、郊外にはIPEL COOPやIPEL SIDIS、ディスカウント・ストア系のHURRAやLIDEL...など普段の買い物には全く困らない。北イタリアではフランス系スーパー「カルフール」なども多く見られる。これらのチェーン・スーパーの特徴としては、まず第一に「チーズ・ハム・パン専用カウンター(量り売り)」があること。第二に「野菜・果物は全て量り売り」であることだ。

「チーズ・ハム・パン専用カウンター」これはさすが、チーズの国、そして生ハムの国イタリアである。ニッポンでは高くてとても買えないようなものが低価格でズラリと並ぶ。生ハムの塊がぶら下がり、パルミジャーノ・チーズの塊がでんと構えるカウンターは、やっぱり心躍るものである。イタリア人はチーズやハムをそのままで食べることは絶対しない。必ず、パンと一緒である。ニッポンジン的にはサラミや生ハムはそのままで食べたい気もするが、イタリア人はそれが義務であるかのように、必ずパンを添えるのである。ということで、チーズ・ハムの量り売りコーナーの横には、必ずパンコーナーが併設される。(小さいスーパーなら窓口は一緒である)

ちなみにこのコーナーの裏技はパニーノである。メニューにはのっていない。が、フレッシュな生ハムが量り売りで購入できて、チーズもある、さらに隣にはパンが山積みされている、となれば物理的にそれらをあわせたものがパニーノになるわけだから、できるに決まっているのである。バールで買うよりよっぽど安いし、フレッシュだし、しかも大きいときて、隠れた名品であると言える。しかし難点もある。そこにあるものしか具として使えないので、例えば少しルッコラが欲しいとか、オリーブオイルをたらして、とかそういうコダワリ注文には応じることができない。あくまでもハム・チーズのシンプルパニーノのみである。例えば生ハムが3枚、ペコリーノチーズが2枚も入ったパニーノがお値段200円〜300円で購入できる。

大型スーパーのカウンターでは必ず整理券をひかなければならない。銀行のように、電光掲示板に「51番」「100番」などと番号が表示されるのである。土曜日の昼ともなると最悪である。お腹を空かせた長蛇の列が延々続く。しかもイタリアでは殆ど全てのスーパー・小売店が日曜日は休みとなるため、土曜日は大切な週末のための買出し日なのである。それはともかく、ハム・チーズカウンターに整理券発行の仕組みがあるなら、警察や大学の教務課にもつけてくれ、と思わずにはいられない。

(次回に続く)