高倉健になりたい

barmariko2006-03-19

KEN TAKAKURA
最近アンドレアがうるさい。ことあるたびに「目指せタカクラケン!と言う。以前スカイTVで古いニッポン映画を見て以来、彼にとって高倉健は特別な存在になってしまったらしい。いやしかし、高倉健といえば我々ニッポンジンにとっても「寡黙な男の中の男」というイメージ。どう多角的に考察しても、イタリアジンとの共通点は見られない。「だからいいんだよ。高倉健こそ僕の目標!」まあ言うはやすし、であるが。
そのアンドレアに昨日電話をした。「チャオ、アンドレア。今大丈夫?」「大丈夫だよ、今カッフェ入れたところ。丁度よかったよ!」「は?丁度いいって何が?」「君が電話してきてくれたから、砂糖を入れる必要がなくなったってこと。」「・・・。」それってわたくしがスイートってことですかね?わたくしのスイート・ヴォイスで苦いカッフェも砂糖なしで飲めてしまうってことですかね?

「あのさぁ、あんた高倉健になりたいんじゃなかったの?高倉健ならそんなセリフ軽々しく言わないよね〜」「・・・。」アンドレア、君はまだ全然分かっていないぞ、ニッポン男児というものを。

ところでイタリア語で「砂糖」は「ZUCCHERO=ズッケロ」、「甘い」は「DOLCE=ドルチェ」。この2単語はイタリアの日常会話で非常によく使われる。以前も書いたことがあるが、「SEI IL MIO ZUCCHERO(=君は僕のお砂糖ちゃん)」「SEI ZUCCHERATA(=君はお砂糖のように甘い)」などがその実用例だ。
「DOLCE=ドルチェ」は皆さんも聞いたことがあるに違いない。甘いお菓子の総称で、今やニッポンのカフェやお菓子屋さんでも普通に耳にする。当のイタリアジンはこの「DOLCE」という単語を形容詞として頻繁に使用する。「SEI DOLCE(=君は甘い、スイーティだ)」とシンプルに使うことが最も多いのだが、「君の血液は甘い」や「脳みそが甘い」等という応用編も存在する。よく考えると気色悪いことこの上ない。
さてこの単語、何も男性が女性に言う言葉というわけでもない。女性も男性にバンバン使うし、友達の間でも頻繁に登場する。ニッポン人的には「スイーティ」などと言われるとギョッとしたり、身構えたりするかもしれないが、イタリアジン的には「可愛いらしい」とか「優しい」に近いものがあるのだ。だからもしイタリアへ行って「君ってスイーティだね」等と言われることがあっても、ニッポン語的に捉えて身構える必要はない。「やばい、コイツわたしにホレてる!?」と思い込む必要もない。「あっそ、そりゃどうもありがとよ、グラッツィエ」くらいに思ってクールに応えよう。

前回の「イタリア式愛の囁き」も是非ご参考ください。