まずお席を確保してください

barmariko2006-03-24

PRIMA DI TUTTO, TROVA IL POSTO LIBERO!
あれ、こんなところにセガフレドが。ポイントも溜まったことだし、カッフェ・マッキアートでも飲むか。そう思いセガフレド新宿店へ一人入ってみた。笑顔で接客するレジの女性。「ボンジョルノ。ただいま大変混雑しております。よろしければお席をおとりになってからレジへお越しください」

咄嗟にわたくしの頭の中で「何かが違う」と不調和音が鳴り響く。何だろうこの違和感。そうこの台詞、普通なようでいて非常にニッポン的な発言なのである。友達や同僚が一緒ならともかく、わたくしは一人で店へ入ったわけで、席をとってからレジへ並ぶということは、席に何かしら自分の上着やカバンを置きざりにする必要がある、ということである。

貴重品はレジへ一緒に持っていくとしても、何らかの手荷物を席取りのために放置するということは、イタリアでは考えられない。ましてやそのアナウンスをお店側がするというのは、ニッポンならではである。海外では想像できない、ニッポンのお店側の親切心てやつである。

別に貴重品を置き去りにするわけじゃないんだからいいではないか、コートや本、タバコなら席取りにぴったりだ。そんなもの盗むヤツもいないだろう。確かにニッポンではそうなのだが、席取りに使うものが何なのか、それはさほど重要ではない。それが何であれ自分のものを置きっぱなしにするという概念がニッポン的なのである。そもそも、海を渡れば、ニッポンでは考えられないものがあっという間に盗まれ、置き引きにあうのも事実。わたくしのお友達はイタリアで買ったばかりの靴が入ったショッピング袋を席取りに使って、ものの1分で盗まれていたし、また別の友達はジッポライターを盗まれた。

イタリアジンの友達たちは口を揃えてこうおっしゃる。「ペルージャにはニッポンジンがたくさんいるけど、みんな本当に危なっかしいよね。口の大きく開いたバッグとか財布とか、盗んでくださいってアピールしてるみたいにほったらかし。乗り物に乗っていても例えば通路側にはバッグを置かないとか、気をつけたほうがいいよ。」それを聞いたとき、思い出したことがある。ニッポンのOLさんたちが財布一つでお昼ご飯を買いにいく姿。そこがどんなに安全地帯であっても、イタリアジン的には「財布を手づかみにして外へ出る」ということはちょっと奇異に映るだろう。

イタリアでニュースを見ていると、殺人事件はニッポンに比べると遥かに少ないし、あっても愛情のもつれとか、愛人と3人関係でもめたとか、比較的単純な(というと語弊があるかもしれないが)突発的にそして感情的に起こす事故が多い印象を受ける。最近ニッポンで見られる事件のほうがよっぽどタチが悪く社会問題として根が深いし、「刺されるかも」という恐怖は今のニッポンにこそ存在するものかもしれない。一方イタリアでやはり多く検挙されるのが強盗・引ったくり・置き引きなどいわゆる「盗」である。実に恥ずかしいことだが、わたくしも3年間で携帯を2回盗まれ、1回引ったくられた。身をもって語る、である。

そうそう例えば先ほどのセガフレド。例えば”席取り札”があればわざわざ荷物で席を確保することもない。レストランなどにある予約席の札のようなものだ。と言いながらも、「混んでて座れないなんて当たり前。自然現象なんだし、いつか空くだろ。」くらいに思ってしまうのは、わたくしの脳みそが犯されてきている証拠なのか!?イタリアに。