パニーノ大作戦(やや後編)

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中編はこちら→id:barmariko:20050925

そうと決めたらまずは買出し。バール・アルベルトでの仕事を夕方18時に切り上げて、早速バスに乗ってディスカウント・スーパーへ向かう。まずハム&チーズカウンターに並んで、生ハム、モルタデッラハム、ストラッキーノ(イタリアのクリームチーズ)を購入する。

そして野菜。パニーノからお目見えする野菜は絶対に新鮮でなければならない。あの問屋が卸してくるパニーノに挟まった色の変わったレタスや0.1mくらいの極薄にカットされたトマトほど許しがたいものはない。というわけで、トマト、ルッコラ、プリーツレタスを購入した。ちなみに「生ハム+ストラッキーノ+ルッコラ」の組み合わせは絶品である。イタリアで食べる機会があったら是非!

次に卵。これはニッポンの味、あの卵サンドを作りたかったからだ。イタリアでもパニーノに卵を挟むことはあるが、決まって茹で卵である。それはそれで美味しいのだが、ペルージャにはニッポンジンも多いし、頭の固いイタリア人が「ウゲ。これ何?」と受け入れなくても、それをカバーするだけのアメリカ人やらブラジル人やら、とにかく外国人が多いのだから、問題ない。ところでわたくしが試したかったのは、このニッポンの卵サンドに、あのイタリアの名品モルタデッラハムを挟むという日伊合作である。それが公の場に並ぶのかと思うと、嬉しくてたまらない。(わたくしの感じる幸せなんて、所詮こんなもんである)本当に旨いので、イタリア在住の方に限りご自宅で是非お試しください。

最後にツナ。イタリアでも非常にポピュラーな食材で、勿論パニーノの具としても使われる。イタリアで人気のあるツナのパニーノの組み合わせは「ツナ+カルチョーフィ朝鮮あざみ)」「ツナ+ケッパー」「ツナ+オリーブ+ゆで卵」などである。但しツナは、ニッポンのようにマヨネーズを加えてソースにするのではなく、そのまま使う。今回は、これまた日伊合作ということで「ツナマヨネーズ+ケッパー+玉ねぎの微塵切り」と、オリジナルのツナソースを作ることにした。

最終的に、ハンバーグやズッキーニのフリッタータを作る材料と、ハンバーガー用パンや市販のフォカッチャなどのお徳用パック、さらにマチェドニアを作るための各種フルーツとティラミスの材料も買い揃えた。ご想像いただけるであろうが、物凄い量の買出しである。スーパーのビニール袋を5つ抱えて何とかバスに乗り、友人たちにバス停まで迎えに来てもらう始末だった。
肝心のパンだが、これは焼きたてのものをチョイスしたい。ということで当日の朝6時半に起きて、家から歩いて2分のところにある、地元では有名なパン屋へ出かける。「パニーノを30個作りたいんだけど・・・どのパンがいいですか?」「随分たくさん作るのね!パーティか何か?」「違うんです、あそこのガリバルディ通りのバール・アルベルト用に作るんです」店員さんの超不思議そうな顔が忘れられない。ま、そりゃそうだろう。バール・アルベルトなんだから。

パニーノに挟むものは全て前日に用意し、当日の朝は切って挟むだけだから大した手間はかからない。とはいえ凄い量である。これじゃ3往復しなくちゃ運べないか・・・とりあえずマチェドニアとティラミスを運ぼうと外へ出ると、おおいたいた、たまたま通りかかった190cmの友人、巨漢のフェデリコが。持つべきものは友と小さい街。ありえない偶然が起こるのがここ、ペルージャである。

全てバールに運び込むと、待ち構えていたのはいつもの常連客。アルベルトは・・・昨日わたくしが「パニーノ作るよ」と言っていたことすら覚えていないに違いない。姿もない。朝番バリスタのマウリッツィオが満面の笑みで駆け寄ってくる。「よくやった、よくやった!やっぱりバールはこうでなきゃ、な!」

早速あのショーケースに、パニーノを並べる。当然ながら、既にあの問屋から卸されたパニーノとお菓子がすまなそうに並べられている。それを端に押しよけ、マイ・パニーノを上段にぎっしり並べる。下段にはフォカッチャ・サンドとハンバーガー、さらにマチェドニアの大きなボールとティラミスのケース。

値段と具の名前を書いた札を作らなければ、と思い、隣のタバコ屋シモーネのドアをたたく。(イタリアのタバコ屋というのは、一般的に文房具も販売しているのだ)「ボンジョルノ、シモーネ!紙ちょうだい!あと・・・マジックかしてくれる?パニーノ用の札を作らなきゃ!」「おお、持ってけよ、そこにあるやつ!」「・・・ってこれ売り物じゃん。」「いいっていいって、そんなこと。それよりあとでパニーノ食いに行くからな!」なんていい奴なんだろう。

(また微妙なところで終わってすみません。ちゃんと続きますので)