クレープにはまるアンドレア

barmariko2005-06-11

ANDREA SI E' INTERESSATO A CREPE
アンドレアがクレープにすっかり心を奪われている。そもそもの始まりはこんな感じだったらしい。ある日ペルージャ駅でバスを待つ間、駅前にある「UPIM」という生活雑貨屋へ足をのばした。そこの本売り場で、料理好きなアンドレアはついついパスタの本、野菜の本、と目に付くままにパラパラとページをめくっていた。と、ふとそこで目にしたのが「クレープの本」。何かビビッときたらしい。そのまま本を買い、その上なんと「クレープ専用フライパンとフライ返しならぬクレープ返し」を購入したのである。同じ日に、である。

そのクレープの本は、オールカラーで写真入りの可愛らしいレシピ集である。「甘いクレープ」「塩味のご飯クレープ」の2部構成となっている。本とフライパンを購入したものの、なかなか時間がとれず結局1週間ほどほったらかしになっていた。それがある寝付けない夜、思い付いて数日前に購入したこのクレープのレシピ集を手に取り、ベッドの中で明け方までかかって熟読したらしい。(寝付けないときに料理本を手にするなんて、実はわたくしと行動が全く同じである)

次の日笑顔で聞かれた。「甘いのと、ご飯用の塩味のと、どっちがいい?」お、作る気マンマンだ。作ってもらえるほうとしてはどちらでも有難い。「手始めとしては、チョコレートとバナナ、もしくはマスカルポーネチーズと干しブドウ、を考えてるんだけど。」いいんじゃない?いいんじゃない?アンドレアの同居人である超甘いもの好きのジュセッペ(id:barmariko:20050429)も満面の笑みで見守っている。ご飯になる塩味クレープもレシピを見る限りでは頬っぺたが落ちるくらい美味しそうである。組み合わせとしては「ブルーチーズとハチミツとクルミ」「海老と長ネギのソテー」「ドライトマトルッコラと生ハム」その数約30種類、はたまたクレープをオープンに入れて、チーズと生クリームでコンガリ焼き上げるものまである。
結果的にアンドレアはいろいろ作ってくれた。凝り性である彼のクレープ作りは勢いを増し、時間があると生地を仕込む日が続いた。「昨日の夜小麦粉が余ってたのを思い出してクレープ焼いたんだ。冷凍してあるから、一部持っていってあげるよ。朝ご飯にでも食べたらいいよ。」あ、有難う・・・でも小麦粉余ってたからってそれ、言い訳だよね?小麦粉って別に使い切る必要、ないよね。
しかし最初の頃は生地が上手く焼けず、悪戦苦闘していることもあった。だってそうだろう、几帳面なくせにレシピはちゃんと読まないからだ。「粉200グラムに対して、牛乳1カップ、卵1個〜2個って書いてあるよ?粉どれくらい使ったの?」「1キロ」「・・・・。将来の夢はクレープ屋さんなの?」「いやだって、冷凍しておけるから、たくさん作ったほうがいいと思って」「卵いくつ入れたの?レシピの計算だと最低でも5個入れなくちゃ駄目だよ?」「えーっと、3個かな」「ほら、全然足りてない。牛乳も少ないんでしょう?駄目だよ、お菓子作りは繊細なんだから。レシピって大事だよ。」「でももう卵ないんだ・・・」「ジェラルドかジュセッペのを分けてもらったら?」「聞いたんだけど、今日に限ってみんな卵持ってないんだ」「買いに行ったら?」「今日日曜日だからどこも休みだよ。」絶望的である。

「もう嫌だ!これ全部捨てるよ!生地は作ったら直ぐに焼かなくちゃだめなんだ。明日まで卵と牛乳入れるの待ってたらこの生地駄目になるよ。こんなことなら粉1キロ分も使うんじゃなかった。」やれやれ。「そんな、捨てたら勿体無いじゃない。分かったよ、じゃあわたしの家までこの生地持ってきてくれれば、あとはあたしがやっとくよ。あたしの家、卵も牛乳もあるから。」結局わたくしがその1キロ分のクレープを焼く羽目になり(バカな提案をしたのはわたくしであるから責任は自分にあるのだが)、それから暫くの間というもの、わたくしの家の冷凍庫には、いつでも急なお客様に対応できる冷凍クレープが眠ることになったのである。

今ではアンドレアのクレープ作りの腕もなかなかのものになり、安心して任せられるようになった。「マスカルポーネと干しブドウ」は本当に美味しかったし、写真はアンドレア特製「ドライトマトモッツァレッラチーズとルッコラとマッシュルーム」という具沢山のご馳走クレープである。(お皿がクレープと合っていないが・・・)最後にオーブンで軽く温めて、モッツァレッラチーズが溶けかかった頃を見計らって食べるのが美味い。しかし、クレープは食べ過ぎると、飽きる。それをアンドレアに言う勇気などわたくしにはないのだけれども。