MR.アルベルト・ロッシ

barmariko2005-04-20

ALBERTO ROSSI
ガリバルディ通りのバール・アルベルト。もう何回このバールのことを書いたか分からない。自分が働いていたこともあって、この駄目駄目バール、イタリアいちイケテいないバールには今も愛着が残る。「馬鹿ほど可愛い」の心境に近いかもしれない。とはいえ、ペルージャでの友人関係の多くはここで形成されたのだから侮れない。10年後、20年後に自分の子供に「お母さんはね、バール・アルベルトで働いていたのよ・・・」といつか語る日も来るだろうか。楽しみである。それだけで子供を笑わせる自信がある。

バール・アルベルトに関するお話

今更であるがアルベルトさんの本名はアルベルト・ロッシという。ちなみにイタリアにおけるロッシという名字はニッポンで言えば佐藤さんや加藤さんにあたる。つまり非常に多い。例えばあの有名なイタリアのF1選手ヴァレンティーノ・ロッシ、イタリアで爆発的人気を誇る(わたくしは大嫌いであるが)おやじロック歌手のヴァスコ・ロッシ、1982年サッカーワールドカップでイタリアを44年ぶり優勝に導いたあの伝説の選手パオロ・ロッシなどがそうである。ここで我らがガリバルディ通りのアルベルト・ロッシの名前を出したところで、彼が勝負できるのは宝物の車とバイクの数だけであろう。
以前にも述べたが、愛車のクリーム色のアルファ・ロメオ・クラシックは本当に素晴らしい。そして写真上はこれまた自慢のフォルクスワーゲンである。他にもカヌーを積むためのワゴン車がある。バイクは2台、ホンダとイタリアの宝、あのドゥカーティ。(写真下:ドゥカーティを囲んで。アルベルトと教会工事のおじさんたち)

この日は颯爽と風を切ってフォルクスワーゲンで仕事場であるバールにご到着だった。そして車から降りるなり、いつもの愚痴が始まる。「この寒さには参るよ。もう4月だよ?昨日あんなに暑かったと思ったら今日はもうこれだ。体がやられちまうよ!」誰も何も答えない。お決まりの仕事始めの図だからである。愚痴で始まり、愚痴で終わる。

マリコ、聞いた?うちのバールの目の前にある自衛隊ペルージャ本部ね、この建物が2年後にペルージャ外国人大学になるんだよ」「はぁ?全然知らない。それ、本当?」「本当さ。もうサインしたっていつもカフェ飲みに来る士官が言ってたよ。」「ふーん、でも多分一部の教室だけ移行されるんでしょう。まさか大学全部が移動するとは思えないよ。キャパが足りないし。」「まあでも考えてごらんよ。これで我らがガリバルディ通りも少しは賑わいを取り戻すってもんだよ。やれやれ。」とアルベルト。(昨日はもう仕事辞めるって言ってたくせに。)

バール・アルベルトの目の前には教会と大きな広場があり(現在閉鎖中)、その横にこの自衛隊のオフィスがあるのだ。確かにこの無愛想な自衛隊員がウロウロするよりは、ピチピチの外国人若者が溢れるほうが、見た目にも美しいというものだ。更に自衛隊員はバール・アルベルトにやってこない。オフィスの中に彼ら専用の安いバールがあるからである。外国人学生は当然バールへやってくる。授業が終わるたびにカフェを飲み、タバコを吸う。目の前は広場であるから、確かに最適である。これでバール・アルベルトの売上げが上がらなかったら、彼は本当に仕事を辞めたほうがいい。

アルベルトはこの話の展開は、恐らく2週間ほど前に隣のタバコ屋シモーネと一緒にペルージャ市長と会談したからだ(http://d.hatena.ne.jp/barmariko/20050406)と思っている。それはないだろう。イタリアの政治がそんなに俊敏に正確に機能するとは思えない。まあ、終わり良ければ全て良しである。2年後の人で溢れかえるガリバルディ通りを皆で期待しよう。