トーマスの家でワイン三昧

barmariko2005-04-22

UN SACCO DI VINI DA THOMAS
これほど招かれて嬉しいディナーはこの世に存在しない。ソムリエでもありフリーのITジャーナリストでもあるドイツ人トーマスと、家具作家イタリア人イヴァナの家は、見るもの全てが楽しく食べるもの全てが美味しく、そして飲むもの全てが極上品なのである。今回のメンバーはわたくしと、料理修行でイタリアに滞在しながらもアジア料理・アフリカ料理に目覚めてしまったニッポンジンR、イヴァナの友人マウリッツィオ(イタリア人)、そしてトーマスとイヴァナ。わたくしとRは肉料理を持ち寄ることになっており、ワインと前菜その他もろもろはトーマス家の担当となった。

わたくしが持っていったのはタマゴ入り豚の角煮、Rは何とタンドリーチキンに自家製キムチ。とてもイタリアの食シーンとは思えないが、トーマスもイヴァナも普通のイタリア人と違って外国のものを深く愛しているから、彼らの家へ行くときはアジアン・フード持参が必須項目である。勿論この角煮ひとつキムチ一皿で、目の飛び出るような極上ワインがゴクゴク飲めてしまうのだから、幾らでも作って差し上げようというもんである。

「これキムチ?!わたしキムチ大好物なのよーー。偉いわ、R!ローマに行く度にね、韓国食品屋でキムチを一瓶買うんだけど全部一人で直ぐ食べちゃうのよ。韓国人のお友達にも、アンタタベスギヨ、と言われてしまうくらいなの。韓国人でも一人で一瓶は食べないって。確かに次の日お腹こわしちゃったんだけど、でも止められないのよねえ。」とイヴァナ。
さてこの夜わたくしたちが飲んだものはこちら。

=白ワイン=

  • GEWURZTRAMINER 2003(アルト・アディジェ州)

=赤ワイン=

  • ROSSO DI MONTALCINO 2001(トスカーナ州/サンジョベーゼ・グロッソ種)
  • GATTINARA RISERVA 1996(ピエモンテ州/ネッビオーロ種)

=デザートワイン=

  • RIESLING EISWEIN 1998(ドイツ・モーゼル地方/リースリング種)

=食後酒グラッパ=

  • LE PERGOLE TORTE 1999(トスカーナ州)

「ロッソ・ディ・モンタルチーノ2001年」を生産するARGIANO(アルジャーノ)というワイナリーは、最高級のブルネッロを生み出すことで有名な、500年もの歴史を持つトスカーナの作り手だ。今回はブルネッロではなく、一般的には少しカジュアルなこのロッソ・ディ・モンタルチーノを味わったのだが、美味しいの一言である。ブルネッロと同じくサンジョベーゼ・グロッソ種100%なのだが、果実味溢れる優しいまろやかさは、前菜にもぴったりだ。実際トーマスはイヴァナが作った前菜にサラミやハム類が入っているのを見て、白ワインよりもむしろこのロッソ・ディ・モンタルチーノを合わせていた。

「ガッティナーラ リゼルヴァ1996年」を作るTRAVAGLINI(トラヴァリーニ)も優秀なワイナリーである。ネッビオーロ100%といえば、バローロ、バルバレスコの名前ばかりが日本では知られているが、このガッティナーラ リゼルヴァは是非ともお試し頂きたい。バローロほどトロトロのたまり醤油のような濃厚さがあるわけではなく、繊細なそれでいて深みのある味はわたくしもRも大絶賛であった。ちなみにトーマスはタンドリーチキンのためにこのガッティナーラを合わせている。チキンという淡白な肉ではあるが味はしっかりついている、とはいえワイン煮込みのようなずっしりくる味ではなく爽やかなタンドリー、なるほど。頷ける。

デザートワインとして飲んだドイツのアイスワイン「リースリング アイスヴァイン1998年」も忘れてはならない。ぎゅっと凝縮された甘みがたまらない。美味しすぎる。このドイツのアイスワインが飲める場所はペルージャ中のワインバーやリストランテ含めても、ここトーマス家だけではないか?世界的には有名なアイスワインなのに、イタリアでは見向きもされない(というと極端かもしれないがわたくしは意地悪なので)、これがイタリアである。

最後のグラッパでわたくしはとうとう酔っ払ってしまった。普段はグラッパなど決して飲まないのに「これは絶対美味しいから」というトーマスの誘惑に負けてこの42度のグラッパに口をつけてしまったのである。いやいや、全く危険な香りの漂う家である。

これまでのトーマスのお話はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/barmariko/20050103「トーマスの誕生日」
http://d.hatena.ne.jp/barmariko/20050131「トーマスの家で日本食」