インターネットポイントオープンなるか、シモーネ。

以前申し上げたように、わたくしのお友達タバコ屋のシモーネがインターネットポイント併設に向けて目下躍進中である。(前号はこちら http://d.hatena.ne.jp/barmariko/20050228)あれからどうなったのか、気になる方もいるのでは?

先週シモーネから電話がかかってきた。「おお、テゾーロ!(宝物の意味)すまないがあとで店に寄ってくれるか?」聞けば早速ペルージャ郊外にあるパソコン屋を紹介され、話をしに行きたいのだが何しろ何も分からないので一緒にきてくれないか、というのである。勿論わたくしはOKしたが、わたくしが情報システム部出身というのは過去の遺跡であるので、パソコンに詳しい別の友人も連れて行った。

ペルージャの隣駅ポンテ・サン・ジョバンニにその店はあった。携帯電話ヴァーダフォンショップに併設されたそのパソコン屋は、何というかパソコン屋とは思えない、つまり見本のPCとコピー機が2、3台置いてあるだけのスーパー質素な店だった。しかも「ボナセーラ〜!(こんばんは)」と出てきたのは、これまた60歳くらいの、首に派手なスカーフを巻いたシニョーラだったのだ。(ただのオバチャンじゃないか・・・)

シモーネは本当にパソコンやインターネット等について知識がなく、場違いな店にやってきてしまったという焦りが見え見えだったのだが、そこはシモーネ、このオバチャン相手にシモーネ節をぶちかました。「ボナセーラ。俺はシモーネ、ペルージャガリバルディ通りでタバコ屋やってんだけどよ、インターネットポイント併設したくってよ。俺はパソコンのこと何にも知らないもんだから、どうやって手付けていいか分からなくってよ。ここは俺のいとこが紹介してくれたんだ。ええっと、つまりそういうわけだ。あ、こっちは俺の友達、マリコとその友達だ。テクノロジーといえばニッポンだからな。」(勿論シモーネが日本語を話す訳はないのだが、彼のやくざな話し方はまさに訳すとこんな感じなのである。)

オバチャンの説明はざっとこんな具合だった。この店は狭いので店頭にパソコンの在庫はないが郊外に大きな倉庫を持っているから問題ない。更にパソコンの手配だけでなくインターネットポイント開設に当然必要なテレコムの工事、ラン設定、ハブやケーブルの準備などトータルサービスを行っているから、シモーネのように全くの素人でも大丈夫。後日システム屋をタバコ屋に送るから、そこで現場をみて見積もりを出しましょう。スキャナーはご入用ですか?プリンターは1台でいいですね?・・・・
何も分からないシモーネはただただ頷くだけだった、と言いたいところだがさすがシモーネ、オバチャンに質問攻めだった。「インターネットポイントで客に配る利用カードは紙製じゃなくてテレフォンカードのような磁気カードがいいって聞いたんだけどよ、今の時代これが一番便利だよな?」「電話線が何でインターネットに関係するのか物理的には理解できないんだけどよ、電話線工事はどのくらいかかるんだ?」「おい、スキャナーって何だ?」

そして昨日。見積もりの結果が出た。初期投資5500ユーロ(約70万円)ちなみにシモーネの構想では店内に8席設けそのうち4席はパソコン付き、残りの4席はノートパソコン保持者のためケーブルのみ、ということである。(わたくしたちニッポンジンの要望に忠実に応えてくださった)詳細はタワーパソコンが1台につき800ユーロ(約11万円)、これが4台であるから70万のうち44万がパソコン代となる。更にスキャナー、プリンター、ハブとつくからハード全体で55万くらいはかかるのだろう。しかしシモーネの初期投資予算は約3000ユーロであるから、これから何とかしてより安い方法を探さねばならない。

「来週ローマに行ってくるよ。ローマに大きなパソコン問屋があってよ、同じパソコンが1台600ユーロで買えるっていうんだよ。4台だろ、車で行くから自分で運べるしな。とりあえず見てくるよ。5500ユーロは無理だよ、しかも全額前払いだってさ、無理無理。」もし彼がネットワークやパソコンに長けていれば、全部自分で手配してそれこそ大幅な経費削減ができるのだが、こういった代行トータルサービスを利用するとどうしても高くついてしまう。パソコン4台をラン接続で設置するだけなのに。しかもPCがフリーズしただけでもその対処が分からないシモーネにとって保守サービスも必須になってくるだろうし、運用面でコストが更にかかってきそうな気配である。大丈夫なのか?シモーネ。

と妙案を思いついた。わたくしの親友ジュセッペ、あのアンドレアの親友でSEのジュセッペであるが彼をシモーネのところへ送ろう。ジュセッペにとっても小遣い稼ぎになるだろうし、5500ユーロを3500ユーロくらいに抑えることができればシモーネにとっても万々歳である。月1度のパソコン定期検査をしてもらってもいい。ウイルスバスター更新、ソフト点検、溜まったログのお掃除・・・簡単なことであるがシモーネには絶対できない。早ければ今年結婚する予定のジュセッペ、家を購入するために毎日仕事と節約に奔走しているのである。喜んで受けるに違いない。

それにしても、初期投資約70万である、インターネットポイント開設。シモーネはタバコ屋の家賃を毎月600ユーロ(8万4千円)払っている。インターネットポイント運営費用がどれくらいなのか、まだ見積もり結果を見せてもらっていないが、ニッポンの感覚でいけば安いの一言である。勿論収支があってナンボであるから、毎月の利益を計算してみないと何とも言えないが。しかしタワーパソコンが1台11万円もするのは、ニッポンの感覚でいうとあり得ない。