イタリアで絶対流行らないもの

QUELLO CHE NON DIVENTA MAI POPOLARE IN ITALIA

R天のM谷社長がある日こんなことを言った。「僕らがR天を立ち上げたとき、インターネットで、”いつでも””何でも”買える世の中になった。今はこれに”どこでも”が加わった。なぜならモバイルR天が出来たからだ」

いつでも。何でも。どこでも。この3つが可能なショッピングというのは、そんなに嬉しいことなのだろうか。全くこんな疑問を持つなんて、わたくしは21世紀のトーキョーにいながら、何てイタリア化してしまったのだろう。いつでも、何でも、どこでも。こんな3原則はイタリアに存在しない。

ニッポンの場合、ネットやケータイでお買い物、というのは地方へ行けば行くほどそのユーザーは増える。表参道の名店が作るチョコレート、青山のイタリアンが作るジェラート、LAから直輸入、パリ蚤の市で見つけた骨董品・・・今までは遠かったものが、クリック1つで購入できるのだから。

しかしイタリアの場合、地方へ行けば行くほど、そのまま彼らは閉鎖的になってゆくことが多かったりする。例えばペルージャで、「僕はいつもe-bayでショッピングをするんだ」などと言うヤツに、わたくしはお目にかかったことがない。(あ、いや、トーマスがいた。彼はケータイから本から全てネットで購入する。あ、でもトーマスはドイツ人だった・・・)

実は凄いことなのだと思う。何がって、ニッポンの均一化された流通とモノの流行り方だ。例えば熊本県の高校生が、北海道厚別市のサラリーマンが、iPodを持っていても不思議ではない。東京から南北に離れても、情報はある程度均一に行き渡るのだ。(もちろん、極端に若者の絶対数が少ない過疎地は別だけれど)例えばニッポンの場合、田舎に行ったって車の中でCDやMDが聴ける。これがペルージャだと、友達の車に乗った瞬間、音楽を聴くためにガチャガチャと音をたてて「カセットテープ」を差し込む姿を目撃してしまったりするのだから、衝撃である。

話が大きくそれてしまったが、イタリアで絶対流行らないのは「お取り寄せ」である。ネットでお買い物にまず高いハードルがある。わたくしのお友達も、あのトーマスの奥さんイヴァナでさえも、「なんか、怖い」と尻込みする。そこに加え、「他の地域や国の美食に興味がない」という、極端な郷土愛精神が息づいているのだから、そりゃ無理ってもんである。

シチリア人が、わざわざ「インターネット、なんか信用ならないな」と怖い思いをしながら、送料を払ってまでわざわざ北イタリアの最高級ワイン「バローロ」をお取り寄せされるとは思えない。ペルージャ人が「僕たちの街には海がないからなぁ。サルデーニャ島の美味しい魚介類が食べたいなぁ」とお取り寄せされるか?絶対、ない。

ふと、思ったので書いてみた。