夏はやっぱり生ハムとメロン

barmariko2005-08-10


「帰ってきたらまず何が食べたい?」友人のアンドレアにそう聞かれて「うーん、年中無休で外せないのはブレサオラ。あと夏だからやっぱり生ハムとメロン!これでもかっていうくらい食べたい!」期待を裏切らない男である。わたくしを待っていたのは、前もって用意された、このイタリアを代表する逸品たちだった。

「ニッポンジンはさ、ほんと生ハムとメロンをよく食べたいっていうよねえ。」「だって仕方ないよ、ニッポンでは生ハムはなかなか手に入らないし、国産メロンだってすごい高価なんだから!だから必然的にこの組み合わせは超高級な一皿になっちゃうんだよ」イタリアにおける生ハムとは、勿論ピンキリはあるものの、100g200円くらいから購入できる。さらに甘くて瑞々しいメロンが1個100円代、となれば、イタリア人において生ハムとメロンという組み合わせは意外に庶民的なものなのだ。

この日のディナーで、アンドレアはわたくしのほかに、ペルージャ在住のニッポンジン女性2人を招待した。つまりイタリア人男1対ニッポンジン女性3、という「あんた、何狙ってんの?」的なメンバーとなった。まあ作ってくれるのはアンドレアであるから、わたくしたちは有難く笑顔でご相伴に預かるのみである。

わたくしたちを迎えてくれたのは、約束どおりの山盛り、本当に山盛りの生ハムとメロンだった。メロンに巻かれた生ハムは、レストランで食べるようなちょびっとペラっとしたものではない。贅沢にも2枚の生ハムがグルグルと巻きつけられた、非常に食べ応えのある前菜だった。

それからお馴染み「白いんげん豆とツナのサラダ」。これはもともとわたくしがいつも作っていたものなのだが、非常に気に入ったアンドレアはすっかり自分のものにしてしまったらしい。そして「トマトとバジルのオレキエッテ」シンプルだがやっぱり食べたい、トマトソースパスタ。余分なものは何もいれず、フレッシュなバジルをたっぷりちぎって加えるだけのシンプル派。オレキエッテとはあの、耳たぶの形をしたショートパスタで、南イタリアの中でも特にアンドレアの出身プーリア州の名産だ。

テーブルを準備し、ご飯を作り、ワインを開けてみんなに注ぐアンドレア。勿論お片づけも洗い物も全部彼がやるわけである。「いいねえ。ニッポン男児にも教えてやってくれ〜」とわたくしたち。そりゃあ毎日やれとは言わないが、もてなし上手の男性というのはいいもんである。アンドレアのグラスが空になったのを見てすかさずワインを注ぐニッポンジンのY子。「生ハムまだあるよ?もっと食べるでしょ?」と皿に無理矢理とりわけるわたくし。「いやあ〜でもいいね〜!なんか芸者に囲まれてるみたいだよ。そもそもね、イタリア人女性ってのは絶対男にワインなんか注がないから。奴らはワインとは男が注ぐものと思ってるんだから」確かにニッポンの場合、飲み会でも仕事先や取引先との宴会でも、お酒をつぐのは女性の仕事であるかのように捉えられているが、そんな絵はイタリアには存在しない。

「ていうか君たち本当によく食べるよね!僕はイタリア人女性が腹を痛めて産んだ子だしさ、イタリア人女性を悪者扱いする気はないけど、それにしてもね、イタリア人女性ってのはご飯を食べないんだよ。特に20代30代の女性なんてね、みんなダイエットに固執しちゃってさ。『それ以上皿に盛るなよ、この野郎』くらいのこと言われちゃうんだよ。みんなで集まってディナーとかになってもさ、『これは太る』『これは消化しない』とかいちいちウルサイし。ほんと嫌になるよ?それにひきかえ、僕がペルージャで出会ったニッポンジンてのはさ、男女問わず本当に何でも残さず食べるんだよね〜。いや、大事なことだよ。例えば今君たちが食べた生ハムの皿なんて、イタリア人女の子が5人で1週間かかるコースだね。」

イタリア人女性がなんたるや、はまあ勿論個人差があるがアンドレアはこういった。「前にジェラルド(同居人)が女友達のシモーナと僕らをディナーに招待してくれただろ?あの時のシモーナ、あの子がまさに平均的なイタリア人女性の例といえるね。」なるほど。分かりやすい。ということでシモーナについてはこちらをどうぞ。頷けること間違いなし。http://d.hatena.ne.jp/barmariko/20050310