滞在許可証の行方Ⅰ

COME SI PUO AVERE IL PERMESSO DI SOGGIORNOⅠ

イタリアで働きたい、イタリアに残りたい、でも滞在許可証がない・・・この問題は恐らく海外に居住する多くの外国人の共通問題だろう。イタリアに滞在するニッポンジンに関して言えば、滞在許可証が切れても滞在し続けるといった非合法な手段をとる人は非常に少なく、やはり法を遵守するのが当然という流れがある。つまり滞在許可証が切れたら帰国するのである。

では滞在許可証をとるためにはどうしたらよいのか?学生の場合は入学する大学や語学学校へ学費を納めることと、イタリアINA保険への加入が必須である。(他にも写真やクレジットカードのコピー等いろいろ必要となってくるがここでは省略する。)例えば学費と保険を3か月分払ったら3か月分の滞在許可証がおりる、となるのだが、実際これはただの原則であって、必ずしもそうでないところがイタリアである。

ペルージャ外国人大学では、2,3か月分しか学費を納めなくても、6か月分の保険を支払ったら、6か月間の滞在許可証がおりることがある。例えばわたくしは幸いにも常に3か月分の学費、6か月分の保険の支払いでもって6ヶ月間の滞在許可証をゲットしていた。しかしこれは100%確実なことではなく、二人に一人は適用されない。多くの友人から「1年分の学費を払ったのに3か月分しか滞在許可証がおりてないの!確かに保険は3か月分しか払ってないけど、警察の窓口のひとが大丈夫、あとで追加で保険支払えばいいからって。嘘ばっかり!」という不幸な声を何度も聞いた。何故こういうズレが起こるのかといえば、答えはイタリアだから、である。警察のその日の窓口担当者によって、またその日の滞在許可証の発行者が誰かによって、180度結果が異なってしまうのがイタリアである。
ここで追記しなければならないのは、いくら3か月分の学費で6か月分の滞在許可証がおりたとしても、6ヵ月後に再度更新したいのなら、空白の3ヶ月の学費は必ず後々支払わなければならない。そんなに美味しい話はないのである。もし支払わなかったら・・・6ヶ月は合法的に滞在できるがその後の滞在許可証更新は不可能であるから、6ヵ月後無念にも帰国しなければならない。勿論、最初から半年後に帰国するつもりなら問題ない。むしろ後半3ヶ月は学費を払わなくてよいのだから節約にもなる。

滞在許可証の更新をしながらイタリアに合法的に滞在し続けるためには結局のところ滞在期間分の学費(上記のように2,3ヶ月分のおまけが付くこともあるが)を納めることが必須なのだが、ただひとつ、現地でよく知られた救済策はある。例えば1か月分の学費で1年間の滞在許可証がおりる学校が幾つか存在するということだ。勿論1年間は合法的に滞在できるが、残り11か月分の授業料を毎月支払わなければ1年後に更新はできない。つまり帰国である。

しかし見方を変えれば、たった1か月分恐らく5万くらいの授業料で貴重な1年分の滞在許可が下りるのだから、その間仕事を探すとか何らかの人脈を作るだとか結婚しちまえだとか、何らかの解決策は見つかるかも、しれない。1年間は合法的にあがくことができるのだ。5万円で1年分の滞在権利を買う、ともいえる。


このような学校の中には、最初から1年間の滞在許可証目的の外国人だけをターゲットにしているところも少なくない。例えばコックさん修行でイタリアへやってくるひとがそうである。彼らの場合仕事先はある。がしかし労働ビザを発行してくれるレストランなどない。しかし滞在許可証を持ってない外国人を働かせると後が大変だからレストランもそんなリスクは犯したくない。じゃあ、学生ビザでいいからちゃんと滞在許可証を持っているひとを雇う、というのが一般的な流れである。

コックさん修行の外国人は、一日中厨房にいて当然学校など通わないのに、滞在許可証を得るためだけに毎月学費を払わねばならない。そういう彼らの強い味方が、上記の学校なのである。入学用に1月分支払えば1年分の滞在が合法的に可能なのだから。1年後には帰国したっていい。また出直せばいい。1年後には労働ビザが下りるようなレストランで働くことができるかもしれない・・・

続く。