ビデの使い方

barmariko2005-04-25

COME SI USA IL BIDE'?
イタリアのトイレには必ずといっていいほどビデがある。ビデがいつ頃普及したのか、詳しいことは知らないが、ヨーロッパでも特にイタリア、フランス、スペインで、まだトイレやシャワーがなかった時代に発展したと言われている。その昔ローマ人は用を足した後に瓶に水を溜めてお尻を洗っていて、これがビデの始まりとも言われているのだが、本当のところどうなのだろう。ちなみに「ビデ」という言葉はフランス語である。

その昔わたくしのイタリア語がまだまだ悲惨な状態であったとき、ローマのとあるイタリア人家族の家へ泊まらせて頂いたことがある。トイレに行きたくなって場所を聞くと、そこのお母さんは「さあ、ここがトイレよ。はい、これはビデ用タオル♪」と言って笑顔で小さなタオルを渡してくれた。家庭にもよるが、トイレへ行く=ビデを使う、という図式が成り立っている場合もある。

ビデの正しい使い方をイタリア人に聞くと、これはあくまでも壁のほうに向かって「またがる」ものだと言う。トイレの後や時間がなくてシャワーが出来ないとき、お尻や陰部を洗うのである。ビデのタイプは大きくわけて2つあり、1つはお湯を溜めてそこでジャバジャバ手で洗うタイプ、もう1つはビデの中に上を向いた蛇口がついていて噴水のようにお湯が吹き出るタイプである。ちなみにわたくしはイタリア人がどう言おうと、またがるのは何となく落ち着かないので、普通の洋式トイレ風に前向きに座ることにしている。

イタリアでは、薬局や化粧品屋さん、スーパーでもこのビデ用つまりお尻と陰部を洗う為の刺激の少ない弱酸性ソープがたくさん売られていて、香りも多種多様である。「intimo(内部という意味)」と書いてあることが多い。体の内部を洗う、という意味だ。

このビデ洗浄、はまるとなかなかクセになる。ニッポンのトイレにも「ビデ洗浄」というボタン付きのものが最近多いが、本来のビデのすがすがしさはその比ではない。トイレの後にいちいちお尻を洗うなんて面倒くさいと思っても、その後の爽快感は素晴らしいのだ。何となくお尻が軽くなった気がすると言っても決して大袈裟ではない。
ところでビデは本来の目的以外にも使用可能な、なかなかの優れものである。去年我が家に住んでいたルームメイトのメキシコ人の女の子2人。メキシコはビデ国ではないから、彼女たちはお尻洗いはせず、そこを洗濯物の付け置き洗い場として使っていた。ふと見るとパンツが浸かっている。それにしても他人がお尻を洗う姿は決して直接見ることがないせいか、パンツがふわふわ中に浮いているのは、ビデの使い方としてビジュアル的に衝撃度が高い。それから寝る前に足を洗う留学生も多い。なるほど、寒い夜に足だけでも暖まれば気持ちよく眠れそうである。

友人のアレッハンドロさんの新しい家にも当然ビデがある。(アレッハンドロさんについてはこちらをどうぞhttp://d.hatena.ne.jp/barmariko/20050402)アレッハンドロさんの飼っている猫、ファイロは何故かここでしか水を飲まないらしい。(写真上)以前の家ではそんなことがなかったのに、今回新しく購入した家のバスルームは広く快適で、ファイロもこのビデを相当気に入ってしまったらしい。喉が渇くとビデの前で鳴くそうだ。

ちなみに「欧米人は日本人に比べて衛生観念が低くあまりお風呂やシャワーを使わないが、その代わりにビデは毎回使用する」等といわれることがあるが、今時それはないだろう。ひと昔前の留学情報等によると「日本人は毎日シャワーを使うから同居人に嫌われる」「朝シャワーは日本だけ」らしいけれど、イタリア人だって大のシャワー好きである。逆に毎日シャワーを浴びないイタリア人に出会ったことがない。そもそも夜飲みにいったり散歩にいったりと出かける前に、家でシャワーを浴びてから行くというのはごく当たり前のスタイルなのだ。

ヨーロッパにご旅行の際は、是非一度ビデをお試しください。