ペルージャのポルコ(豚野郎)ども

昨日、イタリアに住んで6年の日本人女性Sと話す機会があった。何故だか覚えてはいないが、いつのまにか話はペルージャに蔓延るポルコ(豚野郎)どもの話へと発展した。イタリア語のポルコとは直訳で「豚」という意味。日本でも「豚みたいなやつ」とか、女性を卑下する「メス豚」とか人を罵る俗語には「豚」という言葉が使われるから、どうやらこれは世界共通らしい。

ペルージャには東洋人女性を狙う、それもイタリアに到着したばかりの、まだイタリア語もままならない脅えた目をしている東洋人を狙う、豚野郎どもがいる。この豚たちは、若ければまだ許せる、というかまあ若気の至りかとも思えるが、こぞってオヤジなのである。年齢は50歳から60歳くらいであろうか。日本人というのは彼らの格好の標的である。そもそもこういう豚野郎どもはイタリア人女性には相手にされないわけで、外国人留学生を狙う。そして性格的に穏やかで、ノーといえない、声をかけられて不快な思いをしてもとりあえず笑ってしまう日本人は彼らのターゲットとなるわけだ。ラテン気質のスペイン人を狙うポルコはいるか?いない。

わたくしは気に留めたことはなかったが、このわたくしの友達Sはこう言った。「毎月始めになると大学の門の前にいつも決まってオヤジがいてさ。日本人を見ると声をかけてたよ。そもそもああいうのに引っかかるというか、相手にする女の子がいることが信じられないけど、言葉の通じない外国にくると日本人は本当に弱いから。」さらに彼女の6年に渡るペルージャ情報によると、チェントロの目抜き通り、バンヌッチ通りのカフェバールのテラス席に一日中腰をおろし、新顔のキョロキョロしながら歩く日本人の女の子を見ると声をかけてくるまた別のポルコもいたそうだ。
Sとわたくしの情報が一致したのは、さらにまた別のポルコについてだった。「ソイツ知ってる、知ってる!」このポルコはこともあろうにその昔日本人女性と結婚して子どもまでいるのだが、無類の日本人好きで、ことあるごとに「俺の嫁は日本人なんだ」と日本人女性に歩みより、気を許しておいて手を出そうと試みるとんでもないやつである。実はわたくしの別の女友達は このポルコにディナーへ招待され、当然日本人の奥さんも一緒なんだろうと思って喜んでいくと、家にはこのポルコ一人だったという。彼女にジリジリと歩み寄るこのポルコに、何とこの女性は平手打ちを食らわせ、家を飛び出したのだ。

素晴らしい。しかしこの友達もその昔ペルージャに到着したばかりの頃、また別のポルコから、何と家のオーナーだったのだが、毎日毎日電話がかかってきてランチはどうか、ディナーはどうか、美味しいワインがあるよ、としつこくされわたくしに相談してきたことがある。当時はまだこの状況に慣れていなかった彼女も、平手打ちができるほど大きく成長した。

更に1ヶ月ほど前であったろうか、また別の女友達からとんでもない話を聞いた。バンヌッチ通りを散歩していたら50歳くらいのオヤジに声をかけられ、ランチに誘われたというのである。勿論、知らないオヤジである。アッシジまでドライブがてら、ピッツェリアで美味しいピザを食べようと言ったらしい。こともあろうにこの女の子はOKをし、車に乗ってこのポルコとお出かけしてしまったのである。しかも彼女はイタリア在住4年である。ニッポンジン諸君、これではいけない。100人あたって1人でも落とせればこのポルコたちは果てしなくこの豚行為を続けるであろう。