モッツァレッラチーズ

白くて弾力がありもっちりしていて、全乳フレッシュチーズの代表選手モッツァレッラは当然イタリア生まれである。ピザを語るにもモッツァレッラは外せないし、もはやイタリア全土で生産され、家庭での食生活に頻繁に登場する。モッツァレッラ・ブッファラというのを聞いたことがあるだろうか?水牛のモッツァレッラ、これこそ本物のモッツァレッラで、お値段も普通の牛乳100%モッツァレッラの3倍が基本である。イタリアでもラツィオ州(州都はローマ)、カンパーニャ州(州都はナポリ)といった中南部でしか生産されない。昔はこの水牛のモッツァレッラを「モッツァレッラ」と呼び、ノーマルタイプは「フィオーリ・ディ・ラッテ(牛乳の花)」と呼ばれていたが、やはり手軽さが商品の流通を促し、いつのまにかモッツァレッラといえばこのノーマルな全乳タイプをさすようになった。

ニッポンでも紀伊国屋成城石井を始めとする外国食品が並ぶスーパーで普通に販売されているが、そのお値段はまだまだ高めである。例えばイタリアでも庶民的チーズ・ハムメーカーとして知られるガリバーニが出している「サンタ・ルチア・モッツァレッラ」はわたくしもニッポンでよく見かけた。値段はイタリアの3倍くらいするがそれでも小さい一袋400円前後で購入できたような気がする。水牛のモッツァレッラも輸入されている。わたくしが見かけたのは一袋700円であったが、いずれにしても手の届かない買い物ではない。

ではニッポンで水牛ではないノーマルなモッツァレッラ1袋(約125g)を購入した場合、どう料理に活かせるのか、具体的にあげてみよう。一度で使い切る必要はないから、一人暮らしでも十分お試し頂けるイタリアの味である。

1日目 モッツァレッラ入りリッチなサラダ

  1. サニーレタスやベビーリーフ、レタス等の葉っぱ類(あるもので構わない)、トマト(あればプチトマト)、スライスした生マッシュルーム、微塵切りにした玉葱少々、千切りにした生ニンジン、サイコロ大に切ったモッツァレッラをボールに入れる。
  2. 食べる直前に塩、オリーブオイル、バルサミコ酢で味付けして出来上がり。

これはわたくしたちが仲間内でディナーをするときによく食べるサラダである。その時あるものを何でもいれてしまう。ツナもオリーブの実もよく合う。イタリアでは生のニンジンをよく食べるのだが、わたくしたちが大根をおろすように、ニンジンをおろし金でおろすのが一般的である。勿論刃の荒いほうでおろすので、 いわゆるオロシニンジンではなく荒めの千切りのようになって出てくる。アンドレアもジュセッペもこうやっておろした生ニンジン、ツナにオリーブオイルとバルサミコ酢、塩をかけてよく食べている。ニンジンにバルサミコは非常に合うのだ。

2日目 トマトソースパスタのモッツァレッラのせ

  1. ニンニクひとかけ(決して微塵切りにしてはならない。ひとかけを3つに切るくらいがよい)、唐辛子、お好みで玉葱を少々オリーブオイルでじっくり炒める。ポイントはフライパンにこれらの調味料を全て入れてから、火にかけることである。勿論弱火でジリジリと香りを出す。
  2. ホールトマト缶を1缶丸ごといれる。1缶で、2、3人前はできるが作りおきして冷凍保存できるので1人でも1缶使い切るべきである。
  3. 中火で15分程煮詰め(煮詰め過ぎたらパスタの茹で汁を加える)、塩を少々加えて完成。
  4. たっぷりの塩を入れて茹でたパスタを、ソースの入ったフライパンに入れ、同時にちぎったモッツァレッラを加え手早く和える。(もし1人分作るのであればソースは1人分だけ使用し、後は保存しよう)

ちなみにソースを和えている間にもパスタは伸びていくので、アンドレアはこの時間も計算し、パスタの袋に表示されている茹で時間の1分前には引き上げる。やはりアルデンテは命である。またもしフレッシュなバジルの葉が手に入るようなら、モッツァレッラを加える時点で一緒にちぎったバジルも加えると香りが引き立ち、一層イタリアを身近に感じるであろう。ただバジルはその後消費しきれずに枯れさせてしまいがちなアイテムであるので(身に覚えのある方いらっしゃる?)あれば、の話である。

さて、一人暮らしのあなたがモッツァレッラ一袋購入したとして、こんな風に試せば2日で見事なくなる。1日目は、フレッシュさを利用して生で食べ、2日目は少し熱を加えて食べるといいだろう。更に使い残しは、必ず水を加えて保存するように、つまり買ったときと同じ状態で冷蔵しなければならない。決して遠い存在ではないモッツァレッラ