消えた横断歩道

ペルージャのチェントロをイタリア広場側から下りると、パルティッジャーニ広場がある。ここはイタリア地方都市を行き交いする中距離バスの発着所である。ウンブリアのまだ行ったことのない小さな街へ、この際だから足をのばしてみようかと思い立ち、パルティッジャーニ広場へアンドレアと向かった。広場前の大通りを渡ろうとして・・・そして気づいた。

「あのさ・・・ここ前横断歩道あったよね?何で今無いの?」とわたくし。「よく気づいたねぇ、そうなんだよ、10日前くらいに無くなっちゃったんだ」とアンドレア。「よく気づくもなにも、ここに横断歩道がなかったら、どうやってバスの発着所へ渡ったらいいの?今だってほら、車がビュンビュン行き交ってるし、危ないよ。」「工事のおっちゃんたちが夏休みに入っちゃったんだよ」

どうやら10日ほど前に横断歩道の位置を少しずらす、塗り替え作業が行われたらしい。手順としてまず元あった横断歩道をきれいに消し去って・・・とそこで夏休みがやってきたらしいのだ。作業工のおっちゃんたちは横断歩道を消しただけでなく、自らの姿をも消し去り、新しい横断歩道を作ることなく、今はバカンス中らしい。「それ本当?何でアンドレアがそんなこと知ってるの?」「簡単に想像できることだよ。ここはイタリアだから(笑)」

消し去った横断歩道は、ちゃんと作ってからバカンスに行ってくれ。